20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:一振りの刀 作者:みあきす

最終回   胸騒ぎ
武(たける)と凛(りん)を探して小屋を出た風香だが、中々二人を見つけれないでいた。近くの兵士に聞いたりもしたが武を見なかったという。何か嫌な予感を感じていたので風香は必死に武達を探した。

「あの二人どこいったのよ。この偽村広すぎなのよ、こんなんじゃ中々見つからない」

隣国の一軍が滞在しているのだからとても広い。それでも風香はあきらめなかった。この胸騒ぎが落ち着くまでは。

「まさか」

風香はもしかしてと思い森へと急ぐ。この辺りの森は危ないのだ。昨日のようなやつだってまた現れるかもしれない。

「あれは、人」

風香が急いでその場所まで駆ける。風香が近づくとその人は風香に気づいた。

「どうした、風香」

「ふーちゃん」

「ここまで何しにきたんだ?」

「ふーちゃん!!」

「ふーちゃん、何をしに?」

ふーちゃんといわれると風香は笑みをもらした。それに武はとまどいつつも、ちょっと恥ずかしそうにしていた。

「たーくんが心配になって・・・凛ちゃんはこなかった?」

凛のほうが先に小屋を出ていたのにいないのはおかしかった。しかし、こんなところまで探しに来ないかもしれない。けど、偽村の中では凛の姿を風香は目撃していないのだ。

「凛が?来てないな。どうした?」

「凛があんたの後すぐ小屋を出て行ったけどどこにもいなかったのよ」

「なに!?探しに行くぞ。風香手伝え」

「だからふーちゃん!!いわれなくても一緒に探すよ。たーくん、結構落ち込んでるかと思ったらそうでもなかったのね」

「落ち込んでられないさ。父ちゃんは父ちゃんだ。今更それは変わらない」

武は涯に言われたように考えるようにした。凛を探す武と風香だが中々凛を見つけられないでいた。一度小屋に戻ってみたが一度も戻ってきてはいないとの事だった。

「迅羅さん。僕の事はいいから、凛さんを探しにいってください」

「大丈夫なのか?」

「これくらい大丈夫さ」

凛の捜索に迅羅も加わった。三人で偽村を探す。風香の胸騒ぎがまだ続いていた。周辺の森も一応探してみたが見つからなかった。捜索は夜まで続けた。そろそろ宴の時間がきてしまう。また小屋に戻ることにした。小屋の前に矢文がささっていた。

「なんだこれは」

すごく嫌な予感がした。

『武、元気でやってるか?
 お前らを裏切ったこと本当にすまなく思ってる。
 けど、仕方なかったんだ。家族を人質にされていた。
 まだ家族は開放されていない。多分これが最後の任務だろう。
 お前たちには本当にすまないが、凛をいただいていく。
 酷いことは絶対しないと約束しよう。俺が絶対にさせない。
 この命に代えてでも。
                       翔(しょう)』

翔からの手紙だった。しかも、凛はさらわれたのだ。いくら探しても見つかるはずはなかった。どうすればいい、相手は黒彼岸だ。このままでは凛は殺されてしまう。翔一人では絶対凛を助けることは出来ないだろう。どうしても力が早急に必要だ。

「帝に、協力してもらおう」

「武、本気でいってるのか?隣の国に助けを求めるということか」

「たーくん、それは少しまずいんじゃない?」

「しかし、俺達がここで出会ったのも何かのあるのかもしれない。俺はあきらめない。どんなことをしてでも凛を助ける」

そんな風にいわれる凛が風香はうらやましく思った。けど、武なら誰がさらわれても同じことをいっただろう。そんな思いが風香にはあった。
小屋に入ると帝の姿はもうなかった。宴の席のほうに移動したのだろう。武達も移動した。
まず涯のちょっとした話から始まった。

「みんなよく聞いてくれ。今この中に我が国の帝がいる」

周りがざわめく。よほどのことなのだろう。

「多分皆あったことがあると思うのだが。帝とは気づかなかったであろう。今回の宴は帝の御命を救ってくれた少年達に感謝するためのものである。みなそれを忘れぬように。ではここで少し帝から」

帝は少し躊躇いながらも席を立ち一言言おうとするが、兵士達がとてもざわついている。それもそうだ。一般人だと思っていた存在が帝なのである。しかも相当若い。

「じゃぁ一言いうけど。みんなと直に触れ合えて楽しかった。そして皆がこの国をどれだけ思ってるかわかった。ありがとう。僕はこの国をもっとよくするために全力を尽くす。だから、君たちも全力で国を守ってくれ」

歓声があがった。みんな思い思いに叫んでいた。

俺も楽しかったーー!!
最高だぜーーー!!
お前が帝だったのかーー!!
一生ついてくぜーーー!!

この一瞬で帝は人気者になった。それが帝の魅力なのだろう。武達はずっと浮かない顔をしていた。

「どうしたのかな?武」

「凛がさらわれたんだ」

「なにがあったんだ!?」

「この国の組織、黒彼岸にさらわれた。俺たちだけじゃどうにもならない」

武は悔しそうにしていた。兵士達は勝手に盛り上がっている。

「じゃぁこの国の力を貸してあげようか。僕にはそれほどの借りがある。それを返させてほしい」

話は早かった。しかし、一度帝の国にきてほしいそうだ。涯も武に会わせたい人がいるらしく武はひとまず隣国・伍国を目指すことにした。
武達は隣国の協力を得ることに成功したのだ。これから激しい戦いが始まるだろう先のことを考え武は少し不安を感じていた。




*ここで一部終了です。
二部はいつ更新するかわかりません。
一度違う作品を作ります。すいません。
読んでくださった方々ありがとうございました。
次の作品もぜひ読んでください。


← 前の回  ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2326