血まみれの中年の男が倒れる。うつ伏せになり、微かに身体を震わせている。咳と共に口から大量の血を吐き出し、床を這う。充血した目が上を見た。 「キ…貴様ッ、こんな事をして…タダで済むと…ッ」 鬼の様な形相で相手を睨む中年。 「…ゥがッ!」 中年の背中に日本刀が突き刺さる。中年は目を開けたまま、動かなくなった。 中年から刀を抜き、男は刀で空を斬り、刀についた血を飛ばした。そしてゆっくりと刀を鞘に納める。 その男は頭から爪先まで、全身が血まみれだった。だが、その血は一滴もその男のものではなく、その男が斬った人間の物だ。 男の周りには斬り殺された死体が無数に転がっていた。身体がバラバラに刻まれていて、一体何人が殺められたのか、わからなかった。 男はコートのポケットから煙草とジッポライターを取り出し、口に咥え火を灯した。 深く息を吸い、煙を吐き出す。 「くっくくく・・・ククク・・・クカカカカカ・・ッ!!」 男は左手を額辺りに、顔を覆うように当て、涙を流しながら笑った。手に付いた血で顔が汚れ、流れ落ちる涙が紅い滴になって落ちる。冷たい暗闇に笑い声が悲しげに響いた。
・・・それから五年の時が流れる。
|
|