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作品名:汚水 作者:tomosibi

第91回   〜兎我沼の伝説〜「場秋村、わさき町の昔話集第13巻」より。
〜兎我沼の伝説〜「場秋村、わさき町の昔話集第13巻」より。

とわぬまのまわりには、うさぎがたくさんすんでいました。

また、たくさんの木の根やツタがはえていました。

うさぎさんたちは、かわいそうに、その木の根やツタにぶつかったり、からまったりして、しんでしまうことが多かったのです。

だけど、村人たちは、うさぎをかわいそうに思うよりも、うさぎをたくさん食べたかったから、うれしく思いました。

沼の近くでうさぎがからまって死んでいるのを見つけると、かわいそうと思うよりも先に、「やったぞお、これでうさぎが食べられる」

と、おおよろこびしていました。

何もしなくてもうさぎが手にはいるので、村人たちは、とわぬまがだいすき。

いつも、とわぬまのまわりをぐるぐるまわって、

死んでいるうさぎはいないかと、うつむいてさがしていました。

だけど、ときはながれて、時代がかわり、もう、うさぎたちはとわぬまにちかづかなくなった。

だから、もう、とわぬまにはうさぎなんていないのに、

おろかな村人たちは、とわぬまのまわりをまわるのをやめませんでした。

そうだ、もっともっと、木の根やツタを、多くしたらどうか?

罠をしかけたらどうか?

いや、沼に、こどもをささげたらどうか?

村人たちはいろいろやってみたけれど、ちっともうまくいきません。

苛苛して、ムカムカして、うさぎを、あのうさぎの味をもう一度味わいたい。

そればかり考えて、うろついていたものですから、

いつのまにか夜になり、

足をとられて、沼に沈んでしまう大人がおおかったそうです。

沼の中には、海草がいっぱいあって、足にからまり、身動きがとれなくなる。

そうして、死んでしまう人たちを見て、他の村のひとたちは、

「あははははは。まるで、足をとられて死んでいく兎みたいだ」

といいました。

うさぎをおいかけているつもりが、じぶんがうさぎみたいに死んでしまうことになってしまった。

だから、この沼は、兎我沼って、呼ばれているのです。




おしまい





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