「ただいま」 母さんが玄関に出迎えに来てくれた。 「実、おかえりなさい。あら、顔色悪いわねえ。ワニさんみたいな顔色してるわ」 「あぁ、何か体調悪いんだ。今日は早めに寝るよ」 「やだ、風邪かしら。大丈夫?お薬飲んだ?」 「大丈夫だよ。部屋で寝てる。 ありがとう、お母さん」
だるい。 すぐ電気を消して、ベッドに潜りこんだ。 少し開いたドアから、母さんの声がしてた。
「お父さん、実が調子悪いみたい」 「それは心配だな。可哀相に」 「夏風邪かしらねえ」 「栄養のあるものを作っておいてあげなさい」 「わかりました。はやくよくなりますように…」
あったかい家庭だよな。俺の家って。 俺は、一人息子だから、かもしれないけど。 大切にされてる。夫婦仲もいいし。
…俺も落ち着いた生活をしないとな。 と思いながら、眠りについた。
そして、次の日。
「体調は大丈夫?無理しないでね。はい。これ」 朝。母さんが手弁当を持たせてくれた。 「いつもありがとう、お母さん」 「いいのよ。いいのよ。大切な実のためだもの」 「はいはい。行ってきます」 本当に息子思いの母親だよな。
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