ぱちん。
あ。
目の前で、ノートパソコンが閉ざされてしまった。
もっと続きが読みたかったのに。
あの頃のわたしを振り返りたかった。
唇を噛みながら、見つめていたけど、 彼女はもう、私の書いた日記に興味がなくなってしまったらしい。
あ、出かけちゃうの?
私は焦って口をぱくぱくさせた。それに、頭をゆらゆらさせたけれど、 それはただわずかな気泡を生じさせただけだった。
彼女は出かけるようだ。
また、しばらく一人になっちゃう。くすん。
じゃあ、私は、頭の中で、霞がかったメモリイを呼び出して楽しむことにしましょう。
・・・・・・・そう、私は、あの頃、真理恵ちゃんと実くんの間で心が揺れていたの。
ああ、彼らはどちらもか細くって、無邪気で、同じような香り・・湿った赤ちゃんみたいな香りをもっていた。
真理恵を抱きしめているときも、実くんに抱きしめられているときも、ここちよかったから。
わたしは、どっちかなんて、えらべなかったの。
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