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作品名:汚水 作者:tomosibi

第69回   真理恵R
兎我沼に生き物が居るんだ…。

私は、なんだか、その鱗がいとおしくなって、そっと、部屋に持ち帰った。




部屋の戸を閉めたと同時くらいかな。ママがまた、キッチンで暴れてる。

…でも、この部屋を追い出される心配は無いものね。

「あんしん、あんしん…」

余裕めかして口に出しても、涙が出る。




ごろん、と床に寝転がり、鱗を電気にかざしてみる。

3、4センチ四方のそれは、青く、透き通っていた。
光を当てる角度を変えると、虹色に反射する。

「きれい…」



目を閉じる。


青い鱗の、人魚を想像する。

汚辱と腐敗にまみれた水の底で、

差し込んでくる、地上の光を、まぶしく感じている、人魚。

人魚は、肌が白くて、やわらかい髪で、金色の首飾りをしていて…

残酷で、でも、優しくて。





「ちはる…」




その夜も、千春に電話することにした。
沈黙の多い会話だったけど、
千春は、優しくて、何時間でも、相手してくれた。

その日の電話の最後に、千春は言った。



「ねえ。真理恵。私、そっちに住もうか」


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