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作品名:汚水 作者:tomosibi

第68回   真理恵�Q
電話した。

少し、いや、結構、私は、泣いた。

泣くってどんだけぶりだろう。

ああ。

そうか。

私は、悲しかったんだ。

千春は、ロクなアドバイスをくれなかったけれど、
ただ、受話器の向こうで、泣いているようだった。

それが、一番、心地良いことだった。









それ以来。

千春と私は、すこし、心が、近くなった。

サイトの運営についても、私がちょこちょこ口を出したり、するようになって。



直接会うことは難しくても、私たちの心は、結構、近くなった。







月一の交わりは続いた。

ママは荒れた。




ママは、月一が終わる度、酒を煽るようになった。

それと…


「ママ?」



帰宅したママが、またしても生臭い。そして、全身、ぬらぬらと光っている。



「ママ、臭うよ?それに、また、藻がついてる」



ママは、髪に絡みつく汚物をひとつひとつ引き剥がしながら、
焦点の合っていない目で私をじっと見る。見る。

「ママ泳いできたから」


「えっ」


「と・わ・ぬ・ま。 ママ、最近、兎我沼で泳ぐのが好きなの」

「兎我沼で!?」

「そう。あそこには誰もいないし」

くくくくく、といいながら、ずぶ濡れの下着を取り替え始めた。

「ママもぉ、真理恵みたいに、ナイスなプロポーションになりたいの。
そしたら、パパも、ママを好きになっちゃうかも、しれないじゃな〜い」

ぼと、ぼと、と、絨毯の上に、落ちる、黒い汁。

兎我沼は、この町のはずれにある山の中にある、小さい沼だ。
あくまで、沼。しかも、澱みきってる。

「う」


ママが脱いだ服からものすごい腐敗臭がして、私は息ができなくなった。

洗濯しなきゃ。

そっとつまみ上げたワンピースから、汚水とともに、何かが転がり落ちてった。
蛍光灯に照らされて、キラ、と光る。

「何、これ…」


綺麗。


拾う。


青い。


…鱗?


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