20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:汚水 作者:tomosibi

第68回   真理恵Q
電話した。

少し、いや、結構、私は、泣いた。

泣くってどんだけぶりだろう。

ああ。

そうか。

私は、悲しかったんだ。

千春は、ロクなアドバイスをくれなかったけれど、
ただ、受話器の向こうで、泣いているようだった。

それが、一番、心地良いことだった。









それ以来。

千春と私は、すこし、心が、近くなった。

サイトの運営についても、私がちょこちょこ口を出したり、するようになって。



直接会うことは難しくても、私たちの心は、結構、近くなった。







月一の交わりは続いた。

ママは荒れた。




ママは、月一が終わる度、酒を煽るようになった。

それと…


「ママ?」



帰宅したママが、またしても生臭い。そして、全身、ぬらぬらと光っている。



「ママ、臭うよ?それに、また、藻がついてる」



ママは、髪に絡みつく汚物をひとつひとつ引き剥がしながら、
焦点の合っていない目で私をじっと見る。見る。

「ママ泳いできたから」


「えっ」


「と・わ・ぬ・ま。 ママ、最近、兎我沼で泳ぐのが好きなの」

「兎我沼で!?」

「そう。あそこには誰もいないし」

くくくくく、といいながら、ずぶ濡れの下着を取り替え始めた。

「ママもぉ、真理恵みたいに、ナイスなプロポーションになりたいの。
そしたら、パパも、ママを好きになっちゃうかも、しれないじゃな〜い」

ぼと、ぼと、と、絨毯の上に、落ちる、黒い汁。

兎我沼は、この町のはずれにある山の中にある、小さい沼だ。
あくまで、沼。しかも、澱みきってる。

「う」


ママが脱いだ服からものすごい腐敗臭がして、私は息ができなくなった。

洗濯しなきゃ。

そっとつまみ上げたワンピースから、汚水とともに、何かが転がり落ちてった。
蛍光灯に照らされて、キラ、と光る。

「何、これ…」


綺麗。


拾う。


青い。


…鱗?


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 1