安うぃ、ホテル。
かび臭い。
扇風機しかついてない。しかもゆっくり回る。壊れてる。
…気分は最悪。
その夜、私は、「哀れみの気持ち」によって、 千春と一晩一緒にいてあげることにしたの。
でも、お互い平凡な学生でしかなく、金も無かったので、 こんなとこにしか泊まれなかったわけよ。
あーあ。女同士でこんなとこに泊まるなんて最悪。臭いし。
私たちはベッドに座って、色んな話をした。 てゆうか、色んな話を、聞いてあげた。私が。
あーあ。これが、素敵な男の人だったらな。な。
千春は俯きながら、 聞いてもないのに自分のことをベラベラ喋って来た。
私は、「まどろみ人魚」の神秘性を失ったこの女には、 何の興味も無かったので、早く寝たいな〜、なんて思いつつ、 うんうん頷いてた。
―千春は、何不自由なく育ったお嬢さんらしい。 ―千春の父親は、彼女の望むものなら何でも与えてくれるよーな人らしい。 ―有名私立に通っててぇ、勉強もできてぇ、ふーん…。 ―でも、いじめに遭っててー ―毎日が超辛くてー
あのサイトは、そんな千春の「醜い心」の、「吐き出しどころ」だったんだって。
そんでもって、ある日私の愛の告白を受けて、 わざわざ新幹線に乗って会いに来たそうな。
そうかそうか。
知れば知るほど、ツマンネ。
揺らぐランプの下。
人魚の語る身の上話を右から左に聞き流しながら、 人魚の細おい腕の中で、 わたしは、眠りについた。
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