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作品名:汚水 作者:tomosibi

第59回   真理恵I
安うぃ、ホテル。

かび臭い。

扇風機しかついてない。しかもゆっくり回る。壊れてる。

…気分は最悪。




その夜、私は、「哀れみの気持ち」によって、
千春と一晩一緒にいてあげることにしたの。

でも、お互い平凡な学生でしかなく、金も無かったので、
こんなとこにしか泊まれなかったわけよ。

あーあ。女同士でこんなとこに泊まるなんて最悪。臭いし。





私たちはベッドに座って、色んな話をした。
てゆうか、色んな話を、聞いてあげた。私が。


あーあ。これが、素敵な男の人だったらな。な。



千春は俯きながら、
聞いてもないのに自分のことをベラベラ喋って来た。

私は、「まどろみ人魚」の神秘性を失ったこの女には、
何の興味も無かったので、早く寝たいな〜、なんて思いつつ、
うんうん頷いてた。

―千春は、何不自由なく育ったお嬢さんらしい。
―千春の父親は、彼女の望むものなら何でも与えてくれるよーな人らしい。
―有名私立に通っててぇ、勉強もできてぇ、ふーん…。
―でも、いじめに遭っててー
―毎日が超辛くてー

あのサイトは、そんな千春の「醜い心」の、「吐き出しどころ」だったんだって。

そんでもって、ある日私の愛の告白を受けて、
わざわざ新幹線に乗って会いに来たそうな。





そうかそうか。

知れば知るほど、ツマンネ。





揺らぐランプの下。

人魚の語る身の上話を右から左に聞き流しながら、
人魚の細おい腕の中で、
わたしは、眠りについた。


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