座ったまま上目遣いで見上げる…。
背は…、私より20センチほど高い。 ブラウスからすらりと伸びた手足。
金色の、メダルネックレス。 おとぎ話のように白い首もと。
赤い唇。長いまつげ。 そして、気弱そうな瞳。
「マリー、はじめまして。 私が、まどろみ人魚です。 本当の名前は、千春っていうの」
お ん な か よ
しかも同世代の。
平凡な。
ふ ざ け ん な
ああ、綺麗な人だわ! 人魚みたいな!! でも、私が求めてたような人じゃない!!!
あーんなアングラなサイトの運営者だからさあ、 もっと、そう、もっと、 私をどっか遠くに連れだしてしまうような、そんな危うい人を期待してたのに!
ただの、細い女じゃん!! こんな、ふっつーの女に、私は、ときめいて、時間を費やして、わざわざ会いに来て…、
畜生!
私は、グラスを掴んで、歯軋りしながら睨み付けてやった。 一瞬、女性は息を呑んだ様子だったけど、すぐに笑顔になった。
「MARRIE。真理恵ちゃん。 あなたが、本当に女の子だとは思わなかった。
怖いおじさんとか、変な人かもしれないって、 心配だったから、店の外から誰が来るか、様子をうかがってたの。
でも、嬉しい!こんな可愛い女の子が、私のサイトのファンだなんて!
私たち、気が合いそうよね。」
まどろみ人魚、いや「ちはる」は、 握手を求めて来たけど、 私は、水をぶっかけてやったわ。
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