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作品名:汚水 作者:tomosibi

第49回   「どうして?」
「ひっ


うわあああああああああああああああああああ!!!!」



俺は正気に戻って、悲鳴を上げた。

そのとき、化け物も、肉を食い終わって、キャアキャアと奇声を上げた。

真理恵は俺と化け物の声の大きさに、思わず耳を塞いだ。
そして、苛苛したようすで声を荒げた。
「もう!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!
みんな、うるさいなあ!
うるさいんだよ!!!
うるさい!!!
みんな、死ね!
死んじゃえ!

死んでしまええええええええええええええええええええ!!!」

そして、化け物に向かって、叫んだ。

「こいつも食っていいよ!」

真理恵が指差した先には、俺。

すると、化け物の目は俺をしっかりと捉え、バスタブからその体を這い出そうとしてきた。

ヌメヌメと体をくねらせながら、頭、そして、胴体が、こっちに向かって来る。

「!!」

やばい!!!

おれ、食われる!!!

殺される!!!

数秒のうちに、俺は、この化け物と戦うべきか、逃げるべきか、判断しようとした。
が、化け物は以外に素早い動きで迫って来た。
すぐに俺の足元に辿り着き、その胴体を持ち上げる。

化け物の顔は、俺と同じ高さまで来た。

視界の隅に、歪んだ真理恵の笑顔。

俺は後ずさったが、化け物も俊敏な動きで、目と鼻の先まで顔を近づけてきた。

体が恐怖でこわばる。
俺の頭にとっさに浮かんだのは、攻撃方法ではなく、ただただ情け無い言葉の羅列。

やばい!

食われる!!

怖い。

やばいよ。

俺、なんでこんな目に???

なんで???

なんで???

どうして???

俺、何かした?

どうしてなんだよう!!!

「ガア!」

化け物は大きな口を開けた。俺の視界は、真っ赤な舌と真っ白な歯で占領された。


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