「ひっ
うわあああああああああああああああああああ!!!!」
俺は正気に戻って、悲鳴を上げた。
そのとき、化け物も、肉を食い終わって、キャアキャアと奇声を上げた。
真理恵は俺と化け物の声の大きさに、思わず耳を塞いだ。 そして、苛苛したようすで声を荒げた。 「もう!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!! みんな、うるさいなあ! うるさいんだよ!!! うるさい!!! みんな、死ね! 死んじゃえ!
死んでしまええええええええええええええええええええ!!!」
そして、化け物に向かって、叫んだ。
「こいつも食っていいよ!」
真理恵が指差した先には、俺。
すると、化け物の目は俺をしっかりと捉え、バスタブからその体を這い出そうとしてきた。
ヌメヌメと体をくねらせながら、頭、そして、胴体が、こっちに向かって来る。
「!!」
やばい!!!
おれ、食われる!!!
殺される!!!
数秒のうちに、俺は、この化け物と戦うべきか、逃げるべきか、判断しようとした。 が、化け物は以外に素早い動きで迫って来た。 すぐに俺の足元に辿り着き、その胴体を持ち上げる。
化け物の顔は、俺と同じ高さまで来た。
視界の隅に、歪んだ真理恵の笑顔。
俺は後ずさったが、化け物も俊敏な動きで、目と鼻の先まで顔を近づけてきた。
体が恐怖でこわばる。 俺の頭にとっさに浮かんだのは、攻撃方法ではなく、ただただ情け無い言葉の羅列。
やばい!
食われる!!
怖い。
やばいよ。
俺、なんでこんな目に???
なんで???
なんで???
どうして???
俺、何かした?
どうしてなんだよう!!!
「ガア!」
化け物は大きな口を開けた。俺の視界は、真っ赤な舌と真っ白な歯で占領された。
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