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作品名:汚水 作者:tomosibi

第39回   暗い
真理恵は、俺の手を取り、廊下に面して右側の部屋の中に入った。

ぎい。

ぱたん。

6、7畳ほどの小さい部屋。

埃と黴、そして食べ物の腐ったような臭いが濃厚だった。

ランタンで照らされた部屋の中では、足元にはものを食べた後のゴミが散乱しており、小さい蝿がいくつか居るようだった。
また、腰ほどの高さまで、マットのようなものや、たくさんの衣服、また紐や鎖のようなものがごちゃごちゃと積まれていた。
何に使う部屋なのかよくわからなかった。

「まりえ、ここ、まりえの部屋か?」
「うん。あたしの部屋」
「電気、つけないのか」
「…蛍光灯は外してある」
「何でだ?」
「いいじゃない、別に。あたしの部屋だし」
「だって暗くてよく見えないじゃないか」
「暗くてよく見えないからいいんじゃない」
「何でだよ。見えないと困るじゃないか」
「いいんだよ!見えないほうがいいこともあるでしょ。
実くん、言っておくけど、あなたの今の顔も、ひどいよ。
見えないからいいんだよ。わかる!?」

真理恵はなぜか激昂した。
俺は黙った。


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