真理恵は、俺の手を取り、廊下に面して右側の部屋の中に入った。
ぎい。
ぱたん。
6、7畳ほどの小さい部屋。
埃と黴、そして食べ物の腐ったような臭いが濃厚だった。
ランタンで照らされた部屋の中では、足元にはものを食べた後のゴミが散乱しており、小さい蝿がいくつか居るようだった。 また、腰ほどの高さまで、マットのようなものや、たくさんの衣服、また紐や鎖のようなものがごちゃごちゃと積まれていた。 何に使う部屋なのかよくわからなかった。
「まりえ、ここ、まりえの部屋か?」 「うん。あたしの部屋」 「電気、つけないのか」 「…蛍光灯は外してある」 「何でだ?」 「いいじゃない、別に。あたしの部屋だし」 「だって暗くてよく見えないじゃないか」 「暗くてよく見えないからいいんじゃない」 「何でだよ。見えないと困るじゃないか」 「いいんだよ!見えないほうがいいこともあるでしょ。 実くん、言っておくけど、あなたの今の顔も、ひどいよ。 見えないからいいんだよ。わかる!?」
真理恵はなぜか激昂した。 俺は黙った。
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