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作品名:汚水 作者:tomosibi

第24回   再会
…しばらく、ゆらゆら揺れる沼の表面を見つめていた。
すると、中心のあたりから、泡が沸いてきた。

『…みのる…』

えっ。
まりえの顔を見るが、
まりえは無表情で沼を見つめている。

「なあ、まりえ、今の声、千春さんの声だったよな」
「…」
まりえは数メートル先の、泡のあたりを指差した。

泡の中、白く、ぼんやりと浮かび上がってきたのは、
千春さんの頭だった。

「!!」

千春さん。
が、沼の中に居る。

首から上だけが水面に出ている。
暗闇の中、ふたつの目が、黒い水の中から覗いている。

『みのる』
彼女の口元は水面ぎりぎりにあって、
千春さんが喋ると、ぼこぼこと泡がたつ。

「千春さん!?」

何やってるんだ!?
こんな夜の、沼の中で。
溺れているのなら、助けないと!

「大丈夫なんですか!」

…二つの目は、じっとこっちを見ている。

苦しんでいるようすは無い。
もがいているようすも無い。
無表情で落ち着いた目が、月明かりで黄色く光っている。
黒く濁った水面は、静かに揺れ続ける。

「おい、まりえ、
千春さん、どうしちまったんだよ」
「…人魚になれたんじゃない?」

はあ?
何言ってやがる。

でも、この千春さんは、どう見ても異様で…。

「千春さん、千春さん??」

返事は無い。
死んでいるわけでもない。
ただ、
…二つの目は、汚水の中から、じっとこっちを見ている。


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