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作品名:汚水 作者:tomosibi

第21回   蛇の鱗
日がぎらぎら照って。

崩れ落ちる時に
地面についた自分の右の手の甲が見えた。

いつのまにか、ぱっくりと皮膚が裂けて
その奥には
青い鱗がびっしりと生えていた。

ぬらぬらと光るそれは
人魚というより
まるで、
蛇の鱗みたいだった。

見上げると、まりえの笑顔。
長年溜め込んでしまった生ゴミをやっと処分できたかのような笑顔。

そういう表情に見守られながら
俺は一旦意識を失った。

次に目が覚めたとき、
俺は、見慣れた俺の部屋に居た。
窓の外は夜。
体の不快感はいくぶんかマシになっている。

「あれ…」

右手には、何重にも包帯が巻かれている。
…外して、確かめる勇気が無い。

「まりえ、かあさん、とうさん」
ぼんやりと口にする。

と、同時に、朝の父さんと母さんの殺気立った様子と
さっきまでの、まりえの気持ち悪い笑顔を思い出して、
ざわざわと不安になる。

俺、倒れて…
誰が家に連れ帰ってくれたんだろう?
…思い出せない。

舌がぬるぬるする。
鉄のような匂いがする。

左手で口中を拭ってみると、べっとりと血がついていた。
細かい肉片のようなものも出てきた。
俺が吐いた血なのか?

と、リビングから誰かの声が聞こえる。
何か話し合っているようだ。

「まりえ?かあさん?とうさん?」

すがるように暗い廊下を渡り、
オレンジ色の光が漏れる
リビングの戸を開ける。

がちゃり。


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