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作品名:汚水 作者:tomosibi

第19回   ごめんな
「実くん、実くん、実くん」
「何だよ」
「今、あやまったの? 私に」
「そうだよ。 今まで、浮気してきたこと、悪かった!
これからは」
…これからは?俺は、まりえを、ずっと愛せるなんて、言えない。
口ごもった。
まりえは言葉を待ってる。

「実くん、これからは?」
「…わかんねえよ。 とにかく、謝った。だから許してくれよ。な」

静けさ。
中庭はなんだか寒い。湿ってる。
ぬるい風が、どっかから来て、どっかへ吹いてった。

しばらく俯いてから顔を上げたまりえの目は
魚のように、空虚だった。

何かフォローしようとした俺を遮って、
まりえは、片方の眉を上げ、冷たい声を発した。

「口で謝っても、何もしないんじゃ、意味ないじゃない」
「えっ」
「心も変えないし、行動も変えないんじゃ、
謝らないのと、同じじゃない」
「お、お前、俺がせっかく謝ってんのに」
「実くんのごめんなさいは、受け入れられない。
許せない」
「…じゃあ、お前とは別れるぞ!」

空気がぴん、と張り詰めた。
ああ、気分が悪い。気分が悪い。
吐きそうだ!


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