「実くん、実くん、実くん」 「何だよ」 「今、あやまったの? 私に」 「そうだよ。 今まで、浮気してきたこと、悪かった! これからは」 …これからは?俺は、まりえを、ずっと愛せるなんて、言えない。 口ごもった。 まりえは言葉を待ってる。
「実くん、これからは?」 「…わかんねえよ。 とにかく、謝った。だから許してくれよ。な」
静けさ。 中庭はなんだか寒い。湿ってる。 ぬるい風が、どっかから来て、どっかへ吹いてった。
しばらく俯いてから顔を上げたまりえの目は 魚のように、空虚だった。
何かフォローしようとした俺を遮って、 まりえは、片方の眉を上げ、冷たい声を発した。
「口で謝っても、何もしないんじゃ、意味ないじゃない」 「えっ」 「心も変えないし、行動も変えないんじゃ、 謝らないのと、同じじゃない」 「お、お前、俺がせっかく謝ってんのに」 「実くんのごめんなさいは、受け入れられない。 許せない」 「…じゃあ、お前とは別れるぞ!」
空気がぴん、と張り詰めた。 ああ、気分が悪い。気分が悪い。 吐きそうだ!
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