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作品名:汚水 作者:tomosibi

第15回   もう行けない
昼休みが始まると、すぐにまりえが駆け寄って来た。
おそらく、授業中もずっと千春さんのことを考えていたんだろう。

俺もまりえと話したかったので、二人で中庭に行った。
中庭は暗く、誰も居ない。湿った石の上に腰掛ける。

「実くん、実くん、心配でしょ。先輩のこと」
「あぁ…、どっかに居るんだと思うけどなあ」
「実くん、千春さんの携帯知らないの?仲良しだったのに」
「いや、もちろん知ってるよ」
「メールか電話してみようよ、今すぐ」
「ああ、でも、前から連絡がつかないんだよな。
俺、しばらく部活休もうって思って、
最近ずっとしてたんだ。だけど、何か無視されてて…。
まあ、気まずいんだと思うよ。
お前、千春さんにマジ切れてたし」
「うぅ…。ごめんなさい…」
まりえは小さくなって悲しそうにする。
それを見ていると怒る気になれない。

「いや、もういいんだけどさ。
あれが原因で失踪とか嫌だな…」
「千春さんが居ないと『怪奇研究部』出来ないね」
「ああ。俺、もう行かないと思うよ」
「実くん、『もう行けない』じゃなくて、『もう行けない』だよ」
「えっ」
「だって、千春さんが居ないんだから、
もう、行けないと思うよ。部活」
「何だよ、変なこと言うなよ、
まるで、千春さんが、もう…」
言いかけて俺は嫌な気分になった。

まさか、まりえ、千春さんに何かしたわけじゃないよな。


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