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作品名:汚水 作者:tomosibi

第11回   生暖かい布団
夜。

最高に体調が悪くなって目を覚ました。
関節が痛い。熱を持っている。
体中がむずむずする。

ドア越しに父と母の声が聞こえてくる。
何か言い争っているようだ。
俺がいつも目にする円満な夫婦の様子からは想像できないような
殺伐とした口調。

聞こえにくいので少しだけドアを開いてみる。
「死んだらしいですね」
「…」
「で、あの子はどうするんです。約束の年齢は過ぎていますけど」
「放っておくわけにはいかないだろう」
「今まで放ってきたじゃないですか」
「ちゃんと金は出してきた」
「あの子が年頃になったから、可愛いだけじゃないんですか。
だってあなた若い女が好きなんでしょう。見境の無い…」
「黙れ。殺すぞ」
「大声を出さないで。実が起きます」
俺は戸を閉めた。

体調が最悪なのでもう眠れないかも、と思っていたのだが
俺の精神は非常に疲れていたようで
生暖かい布団の中で、
いつのまにか意識を失っていた。

朝。
家族の食卓。
トーストにハム、ベーコン。この食卓には魚は無い。
「実、おはよう」
俺の前では夫婦は明るくふるまっているが、
俺は昨日の様子を忘れない。
父さんや母さんが言ってた「あの子」って、誰なんだろう?


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