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作品名:マンガ喫茶だより ペンテコステ編 作者:樸 念仁

最終回   『年の差編』まえがき


訂正させてほしい。

平成十年だから今から丁度十年前の、若菜が往年のハリウッドスターAと口づけを交わした運命の日について、筆者は月日を誤って伝えてしまった。

第二話‘歳ノ差恋愛事始’の最後では、あれが十月のことになっている。正しくは十一月なのだった。のみならず十一月も末だから、秋よりはむしろ冬という頃だった。

それがあったのが平成十年で十年前、というので、十の数に引かれて、月も十と早呑み込みしたものらしい。何にしても粗忽だった。お許しねがいあげる。

若菜はすぐと間違いに気づいた事ではあったのだけれども、さすがにパウロの伝記のようには自分で直しかねたのだろう。ゆうべ遅くにGoogleメールでもってそっと注意してくれた。

十月が十一月になっただけの話で大差はないように思われもする。しかし、もしあれが十月のまだ暖かな空気が残っている時分であったなら、ああも早くAと深くなりはしなかったのではあるまいか。しばらくの間は、少女らのする遊びにとどまっていただろうと考えられるのである。事実としては数週を待たずにそうなってしまったので、それはカラッ風におびえた東京人が厚着をしだしたことと関係がある。まあ、詳細は今後の考察に委ねるとして、ついでだからもうひとつ断っておきたい。

第六話‘Youは誰かが好きじゃないの?’の品定めの場面中、慧眼な読者はあそこを読んで疑問に感じられた点があったかもしれない。いかな東京育ちで原宿通いのマギーでも、あの通りにしゃべったはずがないと。

ご指摘ごもっとも、会話文はすべて現今の話し言葉に改めた。

例えば「いけてる」という語だ。時は十年前なのだから、「いけてる」とは言わないで、「男前」とか「しびれる」とか言っていた。「いけてる」はまだ普及していなかったのである。「みたいな。」で文を終止させる言い方も一般的でなかったと思う。

この物語では、対話及び独語を当代語に変換して写すものとする。


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