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作品名:マンガ喫茶だより:ザ世田谷コネクション 作者:樸 念仁

第4回   折角だけど樸も男です、自転車は遠慮しておきます。
 春花さん、君は間違っている。大変間違っている。どうして君が見にくいものか。絶対にそんなことはない。
 樸は断言するが、ゆうべから言っていることはお世辞ではない。君は大きな誤解をしているようだ。お世辞ではなくて本心から言っているのだ。それに、口車に乗せて女性をその気にさせるの何のと。考えてもみて欲しい。樸にそんな術が使えたら、今頃はもっと別な暮らしをしていて良いはずだ。
 自慢にならないが樸はしていた仕事の関係上、若い女の子というものをイヤというほど見ている。どういうのが良くてどういうのが悪いかぐらい目利きでなくたって分かろうというものだ。樸は損な性分で思っていることが顔に出ちまうものだから、悪い方には非常に嫌われる。このあいだクビになった職場でも大いに嫌われた。かと言ってでは好もしげなのにならウケがいいかというと、それもそうはいかない。
 しかし大半が好もしくなかった。どう見えるかは考えるまでもなく女優やモデルの風をしたがる。パリ女が持つ物を持ち物に持ちたがる。昔の呼び方をすれば女給さん体の子がセレブリテス気取りでいる。見苦しいものだと思ったね。そういう悪いのがほとんどだった。ひっつめ髪のちょっと良さげっぽいのにはコタツムリと言って笑われた。
 春花さんは樸が知っている子らとは決定的に違う。英会話の先生みたいな高級な仕事をしていながら(あるいはむしろそういう高級な職業に就いているからかな?)ファッションを用いない(と見た)。本当の外国を知っている人は無闇に外国人の真似をしないのだなと感心していたところだ。
 春花さんは内面と外見とが釣り合っていると自己分析していたけれど、樸も同感。「清楚な」という言葉がピッタリの人だと思ったし、そういう人と久しぶりに話ができて清々しい良い気分だった、抜いた歯は痛かったけど。
精神が流行に侵されているのに身なりだけ床しくしたところで、五分も一緒にいれば化けの皮がはがれるものだ。樸はそういうタイプも二人ばかり知っている。オダテているんじゃないよ。
 こう言っては何だけれども、春花さんはやっぱり少し感傷的になっているんじゃないかな。まあ、感傷的になるくらい当たり前か。でも自虐的にならないだっていい。
 大きなお世話と思われるのを覚悟で書いてみた。また明日の昼あたり電話します。 Sleep tight. Boknengine080618


p.s. 死ぬのはもう少し考えさしてください。なにしろ急な話だから


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