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作品名:マンガ喫茶だより:ザ世田谷コネクション 作者:樸 念仁

第3回   怒るともっと凄い顔になる私ですので



17 Apr 08



アラキさん、違う方向に話を変えないで下さい。

それと、心にもない変な煽てはやめて下さい。今さらその手に乗る私でもありません。

見られた私ではありませんが、私にも、一応、感じる心はあります。

私はアラキさんを一生懸命おとしめようとしているのに、アラキさんはお世辞で逆襲して来ます。ある意味でそれはずるいと思います。

アラキさんは、その方法で女の人を喜ばせて来たのでしょうか?ところが私は、それで泣かされて来たのです!

私は、私自身の醜さを知り抜いております。これこそ感傷でも自己憐憫でもなく、明白な事実です。

ですので遊びの積もりで、心にもない言葉を書かないで下さい。悲しくなります。

私は上辺だけではなく、内側もそうです。この二つは釣り合っています。

「死のう」とアラキさんを誘った時の言葉は、実は、毎朝私自身に言い聞かせなければならない言葉です。実際、一日を始めるに当たり、いつもじっくりと言い聞かせております。

今朝、十時過ぎ、私は起きて先ずラジオを付けました。私の耳に最初に飛び込んできたニュースがありました。

ある有名な死刑囚が罪に服したとの事でした。恐らくアラキさんももう知っていらっしゃるでしょう。

私はまだ幼稚園生から小学生だった頃、私と同じ年頃の女の子達が、次々と誘拐され、命を奪われました。

アラキさんについては分かりませんが、私自身は、事件を全く覚えていません。でも、私の母親は、当時、私の事をとても心配したそうです。私は小学生の時、知らない人に話し掛けられても返事をしては駄目だと注意されました。

さて、私がこれから言おうとしている事に、アラキさんも賛成して下さるでしょうか?

私達は、今日死んだ死刑囚よりも正しくはありません。彼よりも優れてはいません。たまたま捕まらなかっただけです。たまたま殺せなかっただけです。相手が死ななかっただけの事です。偶然のなせるわざとして、「善良な市民」のレッテルを貼られているに過ぎません。

違いますでしょうか。少なくとも、B級人間に過ぎない私には、そう思われてなりません。

彼を死に赴かせた人達はA級人間達なのかもしれません。正義の為に粛々と刑を執行させて頂いたと言っているからには、確かに他人を罰する資格がある、正しい、優れている人達なのでしょう。

それは私にとっては別にどうでも良い事です。人様の等級とか格付けとかについてあげつらう事は、私の務めではありません。でも、一つだけは言えます。もし今田勇子が死刑なら、この私も死刑です。この事だけは間違いない事実です。

もう一度言います。お世辞はやめて下さい。そしてアラキさんも、本気で死ぬ事を考えてみて下さい。 th



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