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作品名:マンガ喫茶だより:ザ世田谷コネクション 作者:樸 念仁

第2回   The snailman responds
 ヒドイことはない。樸は脱け殻だ。からっぽだ。もう死んでいる。このうえ自殺しようにもやりようがないくらいだ。
 これは感傷でも自己憐憫でもない。明白な事実と言っいい。
 乞食が首をくくったなんてあまり聞いたことがない。そんな贅沢ができるのはまだまだA級人間の証拠なんだろう。
 だから春花さんの教えはカタツムリなりにも理解できたつもりだ。
ただひとつ、不満な点がある。
 春花さんは樸と同類ではない。断じてない。
 およそ段違いに優れた人だ。心のやさしい、良い人だ。なぜといって、樸は春花さんのような人に会ったことがないもの。


わたしはB級以下の人間です・・・。

わたしはC級D級です。本当はアラキさんに説法する資格なんかないんです・・・。


 春花さんはそのように言う。
 そこが春花さんのやさしさだ。謙虚さだ。樸連れに真心をこめて接してくれる。
 しかし樸がB級人間を自称する時、それは卑下なのでも何でもない。
 樸は平気で嘘がつける。他人の物が拾える。告白すると、レストランで春花さんと向かい合いながら、随分怪しからない思いが浮かびまた浮かびしたものだ。B級に堕落するのにも理由がある。そのくせ、ザマを見忘れでもしたかのように、そのへんの人間よりか優れた者のように考えたがる。正真正銘のBaka者級だ。
 春花さんはそうではない。貴女は素晴らしい人だ。
 女性としては言うに及ばず、人間として素晴らしい。


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