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作品名:マンガ喫茶だより、第2セマーナ。 作者:樸 念仁

第2回   6月9日付樸的考察
 テレビは昨日のヒサンな事件でモチキリ。
 ヒサンなヒサンな事件だ、アキバの事件は。それは樸も同感だ。というか、そこだけ同感だ。
 人気アナウンサーやお偉いコメンテーターの先生方は、言うことがみな同じ。 ・ ・ ・ 現代は不安な時代である。
 われわれ善良な市民は、いつ、どこで、無差別殺人の被害者になってしまうかも分からない。恐ろしい時代になってしまった。
 ああいうリカイしかねる理由でもって殺人を決行する人間がいる限り、もはや善良な市民は、なすすべを持たない。事件にまきこまれないように祈るばかりである。二度とそんな事件が起こらないように、祈るばかりである。
 それにしても、われわれ善良な市民は、ああいう身勝手な動機で事件を起こす犯人には、ただただイカリを覚えずにはいられない。世の中がイヤになっただと?誰でもいいから人を殺したかっただと?!?!
 われわれは義憤をもってイカろう。国を挙げて憤慨しよう。と。 ・ ・ ・
 そういうことをおっしゃる善良な方々は、何も分かっていらっしゃらない証拠だ。樸に言わせれば。
 前提からして間違ってる。
 殺人鬼であるKと、善良な市民である自分とでは、別種の生き物だ。だから、殺される者になる危険こそあれ、殺す者になる可能性などない。
 馬鹿な。
 イカってる場合じゃない。
 悲しむ場合だ。
 人間であることをイカれ。
 自分だって、いつ、どこで、殺人者になってしまうか分からない。しょせん危うい存在なのだ。分からない存在なのだ、善良な市民なんて。
 でもまあ、こう考えるのは、しょせんB級人間であるにすぎない者のタワゴトなんだろう。自転車を拾って歩くまいまいつぶろおじさんの言うことなんか問題じゃない。
 衣食たりたアナウンサーとコメンテーター、それから視聴者、A級人間はいつも被害者に同情して、被害者のためにイカるものなのだから。


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