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作品名:マンガ喫茶だより 作者:樸 念仁

第5回   失台
 日中雨のヨホウがはずれたので樸に新たなシュトクブツができた。
 ここだけの話です。
 いわゆるひとつのコクハクです。
 やろうかやるまいかと思ってたことを、とうとうやってみました。正式に購入すれば二三万てとこでしょうか。

 例によってクウフクと落ち込んだ気分を抱えて出掛けました。早朝五時四十分、バックパックの中には恋空、手には公園のトイレで拾った白いビニール傘。購入すれば三百円てとこでしょうか。
 ちなみに、傘を与えてくれた公園は、昨日ベンチにかけて丹沢の空を眺めた球場のある大きな公園とは、別の公園です。
 この町に来て十日ばかり、だんだん分かって来たことがあります。それは、この町はやたらに公園が多いのです。それも、大きな公園があっちこっち。
 便宜上、昨日の午前の時間をすごした球場のある大きな公園を、球場のある公園aとしましょう。理由は、以下をみれば明らか。
 宿を出発してすぐです。球場とおぼしきスコアボードと照明設備が見えます。
 キブンテンカンに、今朝はいつもと方向を変えて、大通りにそって歩くことをしないで、大通りをまたいで、住宅街の中に入って行きました。
 オヤ、あそこにも球場が。
 きのう歩いたのとは、方角的にマギャクの関係のはずです。
 樸はタグイ稀なホウコウオンチなので、位置関係のことはあまり自信が持てません。けれども、どう考えても、今見えている球場とおぼしき所は、球場のある公園aではありえません。
 球場のある公園aは、坂を下りていったアケッピロゲな場所にあるのに対して、これは、平坦な住宅地の中に隠れるように見えています。球場のある公園aは、丹沢の山並みが望まれるのに、いま樸は、丹沢の山並みに背をむけて歩いているのです。
 行ってみると、思ったとおり、球場のある公園aとは違うところでした。球場のある公園bです。しかも、球場がひとつではなく、ふたつあります。本格的なスタジアムと、少年野球に使うような小さなやつと。
 球場のある公園aでさえ大きな公園と思っていましたけれど、球場のある公園bは、その四五倍もありそうなコウダイな公園です。
 中には小学校があり、中学校があり、高校はふたつあります。宿泊施設まであります。学校の生徒が早朝のランニングをしています。
 そうそう、アリーナもありました。この季節はプール、冬はスケートリンクに早変わりするというふうに書いてありました。(プールは、球場のある公園aにもあります。大会が開ける50メートルプールと、飛び込み用のプールを昨日見学してきました。)
 とにかく、球場のある公園bは、大きな大きな公園です。
 早朝ランニングをする生徒のほかに、早朝ウォーキンクをするおじちゃんおばちゃんが元気よく腕を振って通ります。樸も仲間に加えてもらいました。
 ちかごろ体重が落ちてきたとはいえ、まだまだメタボぎみな樸です。去年の誕生日の時点で、体脂肪率39%の記録をもっています。
 おじちゃんとおばちゃんにまじって球場のある公園bを二周すると、もうへとへとです。夕べもポタージュ風ドリンクだし、朝食はまだなので。背中には荷物だってあります。
 疲れて木陰のベンチで休んでいると、オヤ、あそこに何かが。
たくさん目にとまります。置場にホウチしてあります。どう見てもホウチ物です。隅っこに片寄せてあるので。お互いにもちつもたれつ、やっと倒れずにいるような情けない自転車が九つ十。


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