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作品名:時の旅人  作者:伊織

第6回   再会ー千秋・視点ー
「もぉ〜、また神崎君からかって。」
陽菜が、いつものように俺に言う。
「あんま怒るなよ、俺はあの二人なら仲良くなれると思ってんだから。」
「そしたら、俺はまさにキューピットだ。」
俺もいつのようにチャカして言う。

本当は、司のやつには酷だと思ってる。
ただこれが俺の役目。
道案内役の役目、俺は翔太が試しを受けるに値すると司に伝えるだけ。
審判を下すのは司。
あいつがああなるのも無理はないと俺は思う。
心を凍らせなきゃ、あいつの役目は務まらない。
けど今回はそうはいかないだろう。
翔太は、司が唯一心を許したやつに似ているから。
司はまた同じことを繰り返すかもしれない。
そう思うと俺は・・・。

俺が道案内役をやると決めたのは、ガキの頃。
親が死んだら子が後を継ぐそう家で決められている。
だけど、道案内の仕事は今回がはじめて。
初めてなのに、かなり心が痛い。
これよりきつい事を何十年、何百年としてきた司には同情する。
できればこれで終わってほしい。
司にとってこれが最後の仕事であってほしい。

俺は、自分の家系を恨んだ。
自分の親父を恨んだ。
こんな役目を押し付けた親父が憎かった。
親父は、外から家の血筋に入ったからこんな思いはしないですむ。
母親はこの役目に耐え切れずに俺がまだ小さいころに体を壊して・・・死んだ。
こんな家系でなかったら・・・。

翔太、巻き込んでごめんなさい。
俺も全力でサポートするから。
だから、試しの答えを出そう。
何百年と正解者がでない意地悪な問題の正解を出そう。
翔太が答えを見つけられるようにするのが俺の役目だから。

司また、つらい思いをさせてすまない。
けど今度こそ終わりにしてあげるから。
翔太と俺を信じてくれ。


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