「もぉ〜、また神崎君からかって。」 陽菜が、いつものように俺に言う。 「あんま怒るなよ、俺はあの二人なら仲良くなれると思ってんだから。」 「そしたら、俺はまさにキューピットだ。」 俺もいつのようにチャカして言う。
本当は、司のやつには酷だと思ってる。 ただこれが俺の役目。 道案内役の役目、俺は翔太が試しを受けるに値すると司に伝えるだけ。 審判を下すのは司。 あいつがああなるのも無理はないと俺は思う。 心を凍らせなきゃ、あいつの役目は務まらない。 けど今回はそうはいかないだろう。 翔太は、司が唯一心を許したやつに似ているから。 司はまた同じことを繰り返すかもしれない。 そう思うと俺は・・・。
俺が道案内役をやると決めたのは、ガキの頃。 親が死んだら子が後を継ぐそう家で決められている。 だけど、道案内の仕事は今回がはじめて。 初めてなのに、かなり心が痛い。 これよりきつい事を何十年、何百年としてきた司には同情する。 できればこれで終わってほしい。 司にとってこれが最後の仕事であってほしい。
俺は、自分の家系を恨んだ。 自分の親父を恨んだ。 こんな役目を押し付けた親父が憎かった。 親父は、外から家の血筋に入ったからこんな思いはしないですむ。 母親はこの役目に耐え切れずに俺がまだ小さいころに体を壊して・・・死んだ。 こんな家系でなかったら・・・。
翔太、巻き込んでごめんなさい。 俺も全力でサポートするから。 だから、試しの答えを出そう。 何百年と正解者がでない意地悪な問題の正解を出そう。 翔太が答えを見つけられるようにするのが俺の役目だから。
司また、つらい思いをさせてすまない。 けど今度こそ終わりにしてあげるから。 翔太と俺を信じてくれ。
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