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作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第8回   戦いとシャルム王子の負傷
 戦いが始まった。ダリアの率いる騎馬隊ははたらきが目覚ましく、次々にビグドリア軍を撃ち破って行く。そしてダリア達騎馬隊が道筋をつけて、ビグドリア軍が2つに別れた頃、ビルノアを中心とした青年兵が相手の兵を撃ち破って行く。ここまでは順調だった。青年隊に続いてベルベル兵が押し寄せた頃異変が起こった。ベルベル兵の指揮官が、ビルノア達を襲い、シャルム達後続兵を威嚇し始めた。それと同時に500程のベルベル人が逃亡した。彼等はどっちとも戦いたく無かったのだろう。シャルムは前方で起こったこの異変にびっくりした。
“ブッテリアはどうした?”
“後方から進軍しています。”
シャルム1人ではどうしていいか分からない。
“キリア−ニどうしよう。”
“ダリア様が引き返してくるでしょう。”
そう、ダリアは後方の裏切りにいち早く気ずいた。
“ベルベル人は全員裏切ったようだ。勿論忠実な連中は逃げているようだが、・・・・・・、引き返してビルノアを援護するぞ。”
部下達が各々大声を張り上げる。
“引き返して、ビルノア様の援護!!”
その時、ビグドリア軍の精鋭、騎馬隊が現れ、行く手を阻む。相当訓練された騎馬隊のようで、アルハンブラきっての精鋭騎馬隊と互角に争っている。ビグドリアは大金を払って現在のエジプト、シリア、イラクなどから名うての騎馬兵を雇っていたのだ。その数400。焦っているダリア軍には思ってもいない強敵である。ダリア達とビグドリアに雇われた騎馬隊が戦っている頃、ビルノアは、だんだんと追い詰められていく。周りが全部敵なのだ。しかも、顔を良く知っていて、いつもは命令を聞いている連中が攻めてくる。100人位になると、ビルノアが良く命令していた司令官が、降伏を薦めてくる。ビルノアは頑として受け付けない。シャルムは応援部隊を出そうとするが、ベルベル人達とビグドリア軍もシャルム達の前方に立ちふさがって自分達が、一進一退をくり返すだけだ。そのうちビルノアは30人位になった自分達に気ずいた。ベルベル人の司令官もビルノアを殺したくは無い。
“ビルノア様、降伏為さって下さい。我々は幾らでも和平の道を残して、戦っているのですから。”
しかしこの戦い慣れた司令官の言葉を聞くにはビルノアは若すぎた。
“皆の者この裏切り者達をいかしては返さないぞ。”
“おう!!”
と鋭い反撃を開始して来た。
自分達を守る為にもベルベル人達はビルノアを殺してしまった。ビルノアを欠いて、ビルノアの家来達は戦意をなくしている。その数10数人。司令官は静かに言った。
“逃がしてやれ。”
その言葉は次々に伝えられ、運悪くビグドリア兵に捕らえられたり、殺されたりした5人を除いてシャルムの前に逃げ延びて来た。ダリアはまだ騎馬隊と戦っている。
“ビルノア様が戦死なさいました。”
“そうか。”
アラーの神に死後の事をお祈りして、再び戦いを始めた。
そのころ形勢不利と見て、ブッテリアがさすがに見捨ててもおけないと思い、
シャルムの所へやってきた。
“シャルム様、ごらんなさい。ベルベル人は殆ど全員が裏切ったではありませんか。今からでも遅くはありません。和平の遣いをおだしなさいませ。今は、大体3500対3500。裏切りで浮き立っている分我々が不利でございます。”
“だが、ビルノアが殺されたんだぞ。”
“ビルノアだけではございません。貴方様のお命も危ないのです。”
その進言は、少し遅すぎた。
シャルムがそうしようと言おうとした時に、ビグドリア兵がなだれ込んで来た。
後は戦場の混乱だけが残った。
キリア−ニがシャルムを守って、必死に戦った。シャルムもなかなか強い。
多くの人を刀で傷つけていたビグドリアの兵士の刀が、シャルムの左腕に当たった。血が吹き出る。キリア−ニがびっくりして駆け付けて、その兵士を切り殺す。シャルムの本体に襲い掛かった事を知ってびっくりしたのはビグドリア王であった。
“全員に引き上げを命ぜよ。ベルベル人達には十分の報酬を与えて、優遇せよ。逃げ出したものたちにも、もし出会えたら報酬をあたえよ。逃げ出してくれた事も充分な戦果をあげる元となったのだから。そして、決してシャルム王子を傷つけてはならぬと申し伝えよ。”
危ういところで、ビグドリア軍が引き上げてくれたのでシャルムは左腕を、キリア−ニに手当てしてもらった。そのうちダリアも戻って来て、
“取りあえず退却して、態勢を整えなおしましょう。”
と提案した。
そこで一同ルイトン城へと退却する事になった。
その夜作戦会議の時、シャルムは赤い顔をしていたが、ふらふらしてばたっと倒れた。意識が無い。びっくりして医者に見せると、
“これは、悪い菌に犯されている。治療してもなかなか治らないだろう。40度の熱があるのでこれ以上になればすぐ死んでしまう恐れがある。”
と行ったので、ブッテリアは、
“キリア−ニとダリアが馬車に乗せて、アルハンブラ宮殿まで御運びしろ。騎馬隊5人ぐらい護衛で行け。”
と言われ、慌てて、馬車の用意をし、準備をし、アルハンブラへと出立した。
“これでやっと戦いらしい戦いができるわい。”
とつぶやきながら、ビグドリア王に使者をだし、シャルム王子が高熱を発し、アルハンブラに送るから決して手を出さないように、和平の事は2、3回小競り合いをした後、王の連絡が来るまで和平としようと提案した。さすがは老兵である。連絡を受けたビグドリアも、
“シャルム王子の命が助かってくれた方が、面倒にならなくていいのに。”
と無事を祈った。


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