会談の場所は、ルイトン王宮から1時間近く、馬車で行った場所であった。ブッテリア、ロレントアール、ボアール、ルルミシア、デラルケント、ジオミシカは年をとっているので馬車で、シャルム、ダリア、キリアーニ、ビルノアは馬にのって、会談場へと行った。ルイトン側は、ルイトン王とギドミン大臣が馬車で、その他の若い精鋭が8人馬ででかけた。、そのほか騎馬隊が互いに約200騎程警護に付いていた。
広場にはテントが張ってあり、その中にテーブルが、10人ずつ3角に置いてあった。正面にビグドリア国王を中心に10人並んでたので、シャルムは右側にシャルムを中心として右にブッテリア左は護衛の為、キリアーニがついた。 左側もルイトン国王を中心として右にギドミン大臣その周りに若い精鋭が取り囲んで座った。シャルムがビグドリア国王を見るといかにもハンサムであった。 “なぜマチア王妃は最初からビグドリアと結婚しなかったのだろうか?” とも思った。マチアとビグドリアなら美男美女でとてもお似合いである。 ビグドリア国王が口火をきった。。 “シャルム王子様。遠路はるばるおこしの事、御苦労さまでございます。チョットした手違いでこのような事を起こしてしまって、まことに残念に思います。我々は、グラナダ連合王国とは、決して争うつもりは無かったのです。ナイーダの本当の父は私ですし、ナイ−ダが貴国に嫁いで行ったのを境に、友好関係を開きたいと使者を出したのですけど。” ルイトン王が、 “何を言うか?ナイ−ダは私の娘だし、お前の国は我々を滅ぼそうとしているでは無いか?” “いえ、シャルム様、ルイトン国も一時は私どもが支配をした時期がありましたし、マチアは私の妃でもあります。妃を返してくれたら、ルイトン国の領土は補償すると申しているものを。” “何を盗人たけだけしい。フェズリア国を滅ぼしたくせに。” “何を申される。フェズリア国はこの横にいるラピタルス閣下が、もともと自分の領土を取りかえしたのをお手伝いしただけの事じゃ。” ラピタルスが答える。 “フェズリア国は私の国でございます。ビグドリア国王様には本当にお世話になりました。” “こうしてビグドリア側に出席しているのが何よりの証拠では無いか?” とルイトン側の、若い貴族が言うと、 “いえ同盟関係のビグドリア様がピンチに陥っていらっしゃるので、望んで出席しているのです。” そこにブッテリアが重々しく、 “両国の関係は話を聞いて大体分かった。問題はナハトム王様がどう御考えになるかだ。ビグドリアの使者を充分話を聞かずに、誅してしまったのは、ナイ−ダ様がルイトン王の子だと思っていたからじゃ。ビグドリア王の子だと分かれば、話はかわる。ナハトム王様にお伺いを立ててはどうかと思うのじゃが?” 若いシャルム王子はそれは自分をないがしろにした意見だと思えた。 “待て、ブッテリア。王の命令はビグドリア国がルイトン国を脅かす限り、ビグドリアと戦う事が我々の任務だと思うが。” このような会議で同じ国から意見が割れる事は、命令系統がまとまって無い事を示す。シャルムは言葉を選ぶべきだった。しかし初陣で、戦を知らないシャルムにとっては、自分を無視されたのがたまらなかった。それ以上に憤慨したのはシャルムの取り巻きの若い騎士たちであった。 “ブッテリア。シャルム様を差し置いて、無礼であろう。ビグトリア王様。貴公のお気持ちは分かったが、われらは王の命令で、戦う為に来ているのだ。話し合いは無用に存じる。” これには、ルイトン側も喜んで、 “われらは、明日から戦争に入る。ビグドリア様。よろしいな。” と言うと、ビグドリアは、 “よろしゅうございますとも。ただし、ブッテリア様是非とも、ナハトム王にはこの事を御一報願いたいですな。” と抜け目ない。 シャルムもちょっとはやり過ぎた感を感じたので、 “ビグドリア様。明日から戦争となりますが、父上には、ナイ−ダの話と、貴公が和平を望んでいる事は、私の方からも伝えておきます。” ナイ−ダの本当の父だというので、悪く思われたく無くて、そう答えた。 これにはルイトン側の反発をかった。ブッテリア達、老臣達も、若者の暴走にはへき易したが、明日から戦いが決まったのではしょうがないと思った。 そのまま、途中何も無く、ルイトン王宮へ帰りついて、明日からの作戦会議が始まった。ルイトン側が、 “シャルム様のおかげで、ビグトリアの口のうまさに引っ掛からなくて良かった。明日は、我々が先陣を受け持ちますので、シャルム様達は後陣からゆっくり攻めてくればよろしゅうございます。” するとダリアが、 “我々は戦う為にやって来たのでございます。我々の軍は5000。ルイトン様の兵は約1500、ビグドリア側は約2000。一気に踏みつぶしてごらんに入れよう。” すると、ビルノアも、 “使者が王の元について王の返事が来る前に、この戦いを終わらせているでありましょう。ビグドリア王を捕虜にして、ナハトム王の指示を待ちましょう。” ビグドリアを殺さなければ、ナハトム王も文句は無いだろうと思っている。 しかし、シャルムの心は複雑だった。 “ついかっとしてああいう結果になったが、ブッテリアの言うようにしていた方が、ナイ−ダの為にも良かったのでは無いだろうか?それにしてもナイ−ダはこの事を知ったらどう思うであろうか?相当悩むであろうな。ナイ−ダはどっちの味方をするだろうか?取りあえず戦って様子を見てみよう。” 先ほど威勢のいい言葉を言ったはずなのに、心の方は迷いに迷っていた。 話は部下の方でどんどん進み、明日はダリアを中心とする騎馬隊300が突っ込んで行き、その後ビルノアを中心とするベルベル人の歩兵2000を含む青年兵2300程、その後キリアーニ、シャルム達及びブッテリアを含む本隊2400それと同時にルイトン側1000も合同する手はずだった。詳しい打ち合わせが終わり、それぞれ、の宿舎にかえって行った。ブッテリアはさすがに味方の中にも色々手の者を配置している。ブッテリアの宿舎には、ベルベル人達が怪しいと言う知らせが、届いていた。それと同時にビグドリアからの密使も来ていて、 “ビグドリア王は平和をお望みです。” という再度の知らせも来ていた。ブッテリアとシャルムからの使者がほぼおなじ頃に、ナハトム王へと遣わされた。 翌朝早く出陣の準備をしているシャルム達の元に、ブッテリアが駆け付けて来た。 “王子様。やはり戦いは延期しましょう。ベルベル人達の裏切りがあるかも知れませんし、ビグドリア国王も和睦を望んでいるようですので。” キリアーニとビルノアは若くて流行る気持ちを押さえ切れない、 “ブッテリア様、昨日も言ったように、国王様の命令どうり、戦いましょう。ベルベル人は我々に忠実で裏切る事はありませんよ。なあダリア、ベルベル人達はナハトム王に忠実を誓っているよな。” “キリスト教徒と戦う時はな。だが今度は、自国のアフリカでの戦いだ。” しかし戦い慣れたダリアは、 “例えベルベル人が裏切っても全員と言う事はあり得ません。我々、騎馬隊が引き返し打ち払ってみせます。” ダリアの騎馬隊は一騎当千の猛者ばかりだ。 ここでシャルムがブッテリアの意見を取り上げていたら、後の悲劇は大分変わったものとなったであろう。シャルムも、のどの奥から、 “よし延期しよう。” と言うのが、喉元まででかかった時、ルイトン兵達の主だったものが挨拶にやって来た。そしてそのまま出陣となった。これで、ブッテリアは完全にへそを曲げてしまった。 “世間知らずの若者どもめ。何の為に国王様がわしをわざわざルイトンくんだりまで送ったと思っているのだ。” そして、シャルムのそばから離れて、シャルム軍の最後尾に老年兵達を率いて配置した。
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