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作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第6回   会談前
夜、寝室にはアベルと2人きりである。今日のいきさつをアベルに話すと、アベルは、
“ビグドリア国王は相当ハンサムな人かも知れませんね。”
と奇妙な事を言った。それは軽く受け流し、
“これから私はどうすればいいのだろう?ビルノア国を倒し、国王を殺せば、ナイーダの父親を殺す事になるんだ。ナイーダは今は知らないかも知れないが、ビグドリア国王が自分の父親と知ったらどう思うだろうか?とにもかくにも悩ましい話だ。本当に相談相手にお前が居てくれてとても助かるよ。”
“何の解決もできませんが、”
“いや1人でいると気が晴れなくて、悶々としているに違い無い。話し相手がいるだけで気が少しはれるよ。それはそうと、私は、ジュリアーノもナイーダに似ているかも知れないと、お会いするのを楽しみにしていたんだがお会いしたら、ぜんぜん似て無いので全く興味が亡くなってしまった。こういう私は良くないのだろうか?”
“誰でも美しいものは大好きでございますよ。ただ、美しいものを手に入れる事ができずに、分をわきまえるだけですよ。それから愛したものは自然と美しく見えるものでもございますよ。”
と言ったので、
“それはケイトのことかい?”
とからかうと、少し赤くなって、
“ケイトとのことは、王子様にいつもお世話になっております。”
といってきたので、
“私もお前達のようにナイーダと愛しあう事ができたらもう何もいらないのに。”
と言われたので、アベルは言葉につまってしまった。しばらくして、
“とにかく明日の話し合いがどうなるか、それが終わってから考えよう。今日は寝るぞ。”
といってベッドに寝転んだので、アベルも床の寝床に寝た。
王子はナイーダをアベルはケイトの事を想いながら、眠りに付いた。
 
翌朝、王子は起きるとしばらくして朝食に誘われた。そこには王、王妃、ジュリアーノ姫、ロルフ王子が同席し、ブッテリア、キリアーニ、ダリアそして、ビルノアまでも招待されていた。当たり障りの無い話で食事が済み、食後のお茶を飲みながら、ルイトン王は切り出した。
“もともと、ビグドリア国と王妃の出身のフェズリア国、そして我がルイトン国とは先祖代々とっても仲が良く、子供の頃から行き来が盛んで、我々も3人で仲良く遊んだ記憶があります。ビグトリアがマチアに結婚を申し込んだ頃から、3人の関係がぎくしゃくし始めて、結局、色々あった挙げ句、マチアは私を選び、私とマチアとが結婚する事になったのです。結婚式の日にビグドリアはルイトン国とフェズリア国に、宣戦布告をしてきました。それから、戦争状態に入ったのですが、3国とも戦力は同じくらいで、ということは、フェズリア国とルイトン国をあわせると、ビグドリアの2倍の戦力があるので、協力関係がある間は、我々の方が有利で、我々はビグドリアを滅ぼすつもりは無かったので、ビグドリアが攻めて来ては、両国で力を会わせて撃退するという事の繰り返しでした。しかしジュリアーノが生まれて間も無い頃、戦争の準備をしてないルイトン城に潜んで来たビグドリアの軍団に襲われ、必死に戦ったのですが、準備ができて無いものの悲しさ、さんざん撃ち破られ、私はひとまずフェズリア国へ逃亡致しました。ルイトン国にはビグドリア王が住み、私は死んだ事になっていて、妻はジュリアーノを守る為に、ビグドリアと結婚し、ナイーダが生まれたのです。その後、戦力を回復した私は、フェズリアの力も借りて、ルイトン城を取りかえし、それからは再び、以前の3国と同じような関係で過ごして来たのです。ナイーダは皆には私の子だと言って育てました。その後ロルフが生まれ、しばらくはビグトリア国もおとなしく戦争は無かったのですが、長い間平和で油断していた時に、今度は突然、フェズリア国を襲い、フェズリアの王一族を皆殺しにしてしまったのです。フェズリア国の王と意見のあわなかった将軍をビグドリア国の大臣にしてやると言って、裏切らせたのが、大きな敗因の1つだったそうです。ビグドリアはそういう卑劣な事をする男になってしまったのです。今日の会談は、充分注意する必要があります。その後ナイーダが、ゴルドバ王国の妃となった後、ビグドリア国は貴国に使者をだし、その使者が殺されて、このような状態になったのです。”
王子が答えた。
“分かりました。充分注意して会談に望みましょう。会談後は1番良い方法をとるようにしましょう。”
と言ったが、心の中は、
“ナイーダにとっては何が一番良い方法なんだろうか?”
と考えていた。


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