実は信次と奈津の性交により、生命の誕生があった。700年前に恋愛遺伝子はお互い引き合い、700年後の今、しっかりと結びついて奈津の子宮の粘膜のなかで激しい分裂を続けていた。そう、恋愛とは、愛とは遺伝子が求める強いひきつけ合いに過ぎない。700年間離ればなれになっていたX染色体上の37個の遺伝子群とY染色体上の37個の遺伝子群は奈津の子宮の粘膜内でしっかりと結びつきあっていた。その愛の遺伝子群は36億年前に誕生した。核酸が37個寄り集まった集団。それが愛の遺伝子つまり“ラブジーン”の誕生だったのだ。生命とは実は遺伝子が永続的に保存する為に存在する。人間の場合も性交により男性と女性の遺伝子が半分ずつ組合わさるのだが、お互いのラブジーンが結びつきを欲することにより結合が果たされる。奈津と信次のなかには全く同じ遺伝子があった。それはG-A-T-A-C-T-A-A-T-C-G-A-T-C-C-C-T-T-A-T-T-G-G-G-T-A-A-T-T-G-A-T-C-T-T-A-Aという遺伝子の配列で、そのラブジーンはナイーダのX染色体上と、シャルムのY染色体上にあって、700年後にぴったりと奈津の子宮粘膜のなかでくっつきあい増殖していた。37億年前に生まれなんとか工夫をして生き残って来た遺伝子それがどんどん増幅しているのだ。奈津にとっての目的は果たした。今からはそれを大切に育てて行かねばならない。それには信次より涼の方が都合がいい。そんなことは奈津は全く思わない。しかしラブジーンは最も効率的に自分のジーンを保存増幅するのだ。生命とは実はジーンの保存に最も有効な生き方を求めて成り立っているのだ。この世のなかにジーンは無数に存在する。いずれのジーンもその存在をもっとも多く増殖させるように働く。例えば細胞に感染するウィールスは細胞内に侵入し細胞のタンパク質を利用してそのウィールスのDNAもしくはRNAを増殖させてその細胞から出て行く。そしてそのジーンは数百倍、時には数万倍に増えるのである。涼の精子が奈津の子宮粘膜に辿り着いた時、奈津の子宮粘膜には卵割し核が何個もある桑実胚が存在していた。涼の精子は奈津の子宮粘膜の外側で空しく死んでいく。しかし涼にはそんなことは分からない、愛する奈津と結ばれたことに感激していた。さっき飲んだ薬も効いて来たのか、すっかり元気を取り戻した涼はそのまま2回戦へと進んだ。ゆっくりと奈津の体をなめ始めた。乳房の先端の乳頭を丁寧になめる。奈津は黙って受け入れる。いやとてもいい気分のなかにいる。 “あっ!” 思わず声が出る。 その声は涼の行動に拍車がかかる。涼は太ももの間をなめ始めた。時々膝をなめ回す。これは、吉村から習ったテクニックだ。吉村は、 “女ば抱く時にな、膝のへんばなめてやると喜ぶとばい。” と言っていた。 そこを丁寧になめると奈津のあえぎ声が多くなっていく。明らかに奈津は気持ちよがっている。悪友の吉村に感謝しながら涼はなおも吉村の言葉を思い出し奈津の秘所に唇を持っていった。秘密の入り口の上に小さなマメがある。このマメはクリトリスと言い男性のペニスと同じく勃起するそうだ。吉村の教えに従いそこをなめ始めた。奈津のあえぎは激しくなりそのマメは少しずつ大きくなっていく。奈津があえぎながら、 “お願い!” と苦しいのか嬉しいのか分からない顔をして言う。 涼は唇をマメから離し、2回目の挿入を果たした。 “うれしい!” 奈津がつぶやく。 “僕も!” 奈津の目を閉じた美しい顔の前でつぶやいた。 やがて涼にとって、奈津にとっても至福の時が終わった。 涼は奈津の体から離れ2人ともベッドに上向きになった。 左手を奈津の首の下に入れ肩をそっと抱く。 奈津は黙っている。 涼も黙っている。 しばらく時間が経ち、涼が優しくキスをする。 “私ね。700年前アルハンブラ宮殿に嫁いで来た女王だったの。女王と言っても何人も王様の妻はいたんだけどね。” 涼は素直に聞く。奈津の言うことは何でも信じられる。 “その時の王子と約束したの。700年後に又愛しあおうと。でも私! 貴方の方を愛している!“ “分かった。もう何も言わなくていい。君は僕のものだ。僕は君をこの世の中で1番愛し続ける。死んだ後は分からないけど。” “それで充分です。世の中が変ると愛も変るものです。” “僕が医者になって研修医が終わった頃結婚して欲しい。僕と一緒に人生を歩んで欲しい。” “そうすると何年後?” “後5年後だけど?” “いいわ!私は大学に残って、歴史を研究しようと思うの。丁度いい頃ね。” しかし二人の予定と結婚は全く違った結果になりそうである。奈津の子宮内では胎児が順調に育っている。
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