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作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第41回   奈津と涼の愛
榊奈津の九州インカレーは2回戦で終わった。個人戦が3回戦敗戦、団体は奈津以外全敗し、1回戦敗退だった。北九州で大会があったので福岡であっている西医体の涼の応援に芳子とともにやって来た。丁度、個人戦の決勝で二人が着いたのは試合が始まって第1ゲームをラブサーティーで負けているところだった。芳子は奈津の存在を知らせようと大声をあげる。
“山口先輩がんばれー!”
山口が振り返ってにこっと笑ったが、その目はうつろである。
“山口先輩なんかおかしいんじゃない。”
そう言えば動きも鈍い。体はふらふらだが、奈津のいるのを見ると、
張り切ってワンポイント奪った。それが悪かった。
“きゃあー”
奈津の叫びとともに山口は倒れ落ちた。
試合は相手の勝ちとなり、山口は棄権敗退となった。
奈津と芳子が近寄って行くと、先輩らしいスーツ姿のドクターが、
“お前らは団体戦の優勝戦に行け。俺が山口をホテルに連れていくから。”
と言っていた。
奈津が、
“病院に連れて行かなくて大丈夫ですか?”
と聞くと、
“大丈夫だよ。軽い日射病だよ。準決勝の相手の時、延長延長でやっと勝って、それが山口の限界だったけど、決勝には途中倒れても出ると言い張るもんだから、結局倒れちまったけどな。君たちもホテルまで着いてくるかい?来るんだったら、すぐ近くのホテルだから”
二人がついて来たので、
ふらふらになっている涼を手を肩に回してホテルの近くのコンビニによって、
“あの氷を5袋持って来て。ポカリスウェットの大ビンを3個持って来て。”
と芳子と奈津に指図する。
そしてコンビニでお金を払って、
“すいませんが氷を入れて冷やすので、商品を包む袋を5個程1番大きなものをもらえませんか?”
と言ってビニール袋を5個余分にもらった。
“ポカリスウェットはね、脱水には電解質の補充が1番いいんだから。”
と言ってコンビニ前で涼に電解質飲料をのませた。
涼はポカリスウェットを思いっきり飲んだ。飲んだ後、
“少し楽になった!”
と言った。
それでも先輩に体を抱えられてホテルの1室のベッドの上に寝せられた。
残りのポカリスウェットはベッドの上に並んでいる。
先輩はすぐに涼の体をパンツ1枚にして氷を袋につめ、
両脇と両鼠径部、さらに頭に氷入りの袋を置いた。
涼の鍛えられた体をちらりと見て芳子と奈津は顔が赤らんでいる。
二人の顔をじっと見て、先輩は、
“やあ初めまして、山口は少しねせて、電解質を取れば大丈夫だよ。僕は内科医だしこんな日射病はたくさん症例経験してるから心配いらないよ。医学部テニス部のOBの徳光といいます。”
“榊奈津です。”
“田畑芳子です。今日は奈津がどうしても涼さんのテニスを見たいと言うのでしょうがなく付き合って来ました。”
奈津が何か言いそうな顔をしたが、その前に徳光は、
“そうか、じゃあこちらの人が山口の彼女だね。僕らは邪魔だから食事にでも行こうか?僕は彼女はいなくてフリーです。”
その言葉に芳子は喜んで、
“そうですね!私達はお邪魔のようだし。ごちそうになります。”
と言った。
徳光医師は、スーツから携帯用の薬胃れを取り出し、
“NSAIDを山口に飲ませてから行くからね。”
と言ってポカリスウェットで薬を飲ませた。
“えぬせいどってなんですか?”
奈津が聞くと、
“あ、御免。非ステロイド性抗炎症剤の英語の略で、鎮痛消炎剤のロキソニンと言う薬だよ。これを飲むと熱が引くからね。じゃあ。芳子さん。食事に行こうか?”
と言って二人は出て行った。出る時芳子は、
“私勝手に熊本に帰るから、奈津は後は御自由に!”
と言ったので、少し顔が熱くなった。
涼はうつらうつらしている。
時折、
“熱い!熱い!”
と言う。
額を触ってみると奈津の手が熱く感じる。
奈津は熱さで苦しんでいる涼を見るとたまらなくなる。
昔こんなことを経験した記憶が蘇る。そして熱さに苦しんでいる涼を想うと、
いかに涼が自分に大切な存在であるかも感じられた。
自然と残りの氷をホテルの浴槽に入れ、水をため、氷水のなかに裸になった自分が入り、十分からだが冷えてから涼の体の上に抱き着いて涼を冷やした。
そう、昔ナイーダが高熱の病気をしたシャルムを看病したのと同じ行動である。涼はうつらうつらしていると突然冷たい体が目の前に来て、そして抱き着いて来てとても冷たくて気持ちが言い。
“ああ気持ちがいい。”
と思ったと同時に、裸の冷えた奈津だと気がつき、
体が膠着状態になった。しかし、押さえようおさえようとしたが、
ペニスだけはむくむくと体をもたげて来た。奈津も右大腿部に堅くなったペニスを感じた。欲望を我慢しながら涼は言う。
“奈津さん。いいよ。熱いのも大分取れて来たし。”
“いいの!大分気持ちよさそうだし。これは効くのよ。”
しかし若い男が、好きな女性から裸で抱き着かれて平常心でいられる訳がない。涼は奈津の体を抱きかかえ、自分がうえになって、キスをし、自分から抱き着き始めた。
奈津は依然とは違ってキスを受け入れ、しばらくして涼の体を受け入れた。
単調だった信次の時とは違って、体全体から嬉しかった。
妊娠とは精子と卵子が、卵管という管のなかで出会う。数千万の精子が1回の射精で、放出され、前回の月経から精子の何百倍もすごく大きくなった卵子のなかに1匹だけが潜り込む。潜り込まれた卵子は高速に回転し他の精子を振り落として、膜にもうもぐり込めないように固くなって、やがて卵子が着きやすいように栄養たっぷりの血管と結合組織に成熟した子宮粘膜に着床する。その頃には受精卵はいくつかに分裂して4倍か8倍程の精子卵子からもらって合わさった染色体つまり両方の遺伝子が合わさった生命体の誕生にいたるのである。


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