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作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第25回   ナハトム王のその後
シャルムとナイーダが死んだ後、10年経って、アネルダが天に召され、ジプシーからダリアをジプシーの首領として迎えたいとの申し出があった。ダリアは王の側にいたいと言っていたが、王はダリアをジプシーの首領となる事を許した。そして5年後、ナハトム王は脳卒中にかかり半身不随になってしまった。
アルハンブラ王国はただちにキリアーニを王として即位させた。キリアーニはナハトム王のシャルムに対する処置を恨んで、王に即位後、辛くあたる。ナハトム王の夫人達は、経済的に乏しくなった王の元を離れ、自分達の出身地へと去っていった。そして半身不随の王の面倒を見るものがいなくなった頃、ダリアからキリアーニにジプシー村に、ナハトムを引き取りたいとの申し出があった。キリアーニ王は、ナハトムの顔を見たくなかったので、その申し出を受けてジプシー村に追いやった。ダリアはジプシーの首領として忙しかったが、時間を見つけては献身的にナハトムの世話をした。ある時、半身不随のためナハトムは、着替えの洋服を取ろうとして、よろめき、服の間に埋もれていた。しばらくじたばたしたが誰もいない。その時ドアが開いて、ギニリアがはいってきた。
“ダリア。ダリア。”
奥からダリアが出てくる。
“何でしょう。叔母さま。”
“お前のかあさんはすごいねえ。時を超えて巡り会う薬を作って、シャルムとナイーダに飲ませたそうだね。”
“叔母さんどうしてそれを知っているの?絶対の秘密なのに。”
“ちょっと姉さんの日記を見たのさ。”
ナハトムがやっと起き上がって、
“いまの話はどう言う事じゃ?シャルムとナイーダは生きているのか?”
ギニリアは、
“くわばら。くわばら。”
と言って逃げていった。
“あなた。聞いていらっしゃったの?今の話は絶対の秘密ですよ。”
“秘密にするから詳しく聞かせてくれ。”
“実は姉の作った丸薬で、シャルムとナイーダは未来の世界で出会う事になるのです。”
“その丸薬をわしにも飲ませろ。そしてシャルムとナイーダが出会う前にわしをナイーダとあわせろ。わしは全ての妻に裏切られた。ナイーダがやっぱり一番良かったのじゃ。”
“ナハトム様には私がいるではないですか?”
“わしは、こんな体になってもはや生きていてもしょうがないんだ。薬をくれなければこのまま死んでしまうぞ。”
自分の首に、自由の効く方の手で、短剣を当ててダリルをおどす。
“でも、シャルムとナイーダは、切り離す事はできないんですよ。永遠の愛を誓っているんですから。”
“シャルムと出会う前に、わしと会えばどうにかする。”
“この世でもシャルムより前に会っているではないですか?”
“とにかく薬をよこせ。よこさなければ死ぬ。”
ダリアは諦めて薬を渡した。
“ダリア今までありがとうな。見放さなかったのはお前だけだ。”
と言って薬を飲んだ。
ダリアは残されたナハトムの遺体の前に座り、
“貴方の愛の相手は私だけなのに。”
と呟いたのであった。


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