シャルムとナイーダが死んだ後、10年経って、アネルダが天に召され、ジプシーからダリアをジプシーの首領として迎えたいとの申し出があった。ダリアは王の側にいたいと言っていたが、王はダリアをジプシーの首領となる事を許した。そして5年後、ナハトム王は脳卒中にかかり半身不随になってしまった。 アルハンブラ王国はただちにキリアーニを王として即位させた。キリアーニはナハトム王のシャルムに対する処置を恨んで、王に即位後、辛くあたる。ナハトム王の夫人達は、経済的に乏しくなった王の元を離れ、自分達の出身地へと去っていった。そして半身不随の王の面倒を見るものがいなくなった頃、ダリアからキリアーニにジプシー村に、ナハトムを引き取りたいとの申し出があった。キリアーニ王は、ナハトムの顔を見たくなかったので、その申し出を受けてジプシー村に追いやった。ダリアはジプシーの首領として忙しかったが、時間を見つけては献身的にナハトムの世話をした。ある時、半身不随のためナハトムは、着替えの洋服を取ろうとして、よろめき、服の間に埋もれていた。しばらくじたばたしたが誰もいない。その時ドアが開いて、ギニリアがはいってきた。 “ダリア。ダリア。” 奥からダリアが出てくる。 “何でしょう。叔母さま。” “お前のかあさんはすごいねえ。時を超えて巡り会う薬を作って、シャルムとナイーダに飲ませたそうだね。” “叔母さんどうしてそれを知っているの?絶対の秘密なのに。” “ちょっと姉さんの日記を見たのさ。” ナハトムがやっと起き上がって、 “いまの話はどう言う事じゃ?シャルムとナイーダは生きているのか?” ギニリアは、 “くわばら。くわばら。” と言って逃げていった。 “あなた。聞いていらっしゃったの?今の話は絶対の秘密ですよ。” “秘密にするから詳しく聞かせてくれ。” “実は姉の作った丸薬で、シャルムとナイーダは未来の世界で出会う事になるのです。” “その丸薬をわしにも飲ませろ。そしてシャルムとナイーダが出会う前にわしをナイーダとあわせろ。わしは全ての妻に裏切られた。ナイーダがやっぱり一番良かったのじゃ。” “ナハトム様には私がいるではないですか?” “わしは、こんな体になってもはや生きていてもしょうがないんだ。薬をくれなければこのまま死んでしまうぞ。” 自分の首に、自由の効く方の手で、短剣を当ててダリルをおどす。 “でも、シャルムとナイーダは、切り離す事はできないんですよ。永遠の愛を誓っているんですから。” “シャルムと出会う前に、わしと会えばどうにかする。” “この世でもシャルムより前に会っているではないですか?” “とにかく薬をよこせ。よこさなければ死ぬ。” ダリアは諦めて薬を渡した。 “ダリア今までありがとうな。見放さなかったのはお前だけだ。” と言って薬を飲んだ。 ダリアは残されたナハトムの遺体の前に座り、 “貴方の愛の相手は私だけなのに。” と呟いたのであった。
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