2日おきにシャルムはナイーダの部屋にやって来た。部屋に来ると時間を惜しんで話し、愛しあった。シャルムは言った。 “ナハトム王、父上が帰ってきたら、そなたとの事を話してお許しをもらおう。結婚のお許しをもらったらその他には何もいらない。” “でも、ジプシーのアネルダ様は私達2人はこの世界では結ばれないような事をおっしゃっていました。私達が結ばれるのは未来の世界だそうです。今お薬を持っていますか?” “いつも持っているよ。何かあったら飲めばいいんだね?” “はい。その後に私も飲みます。それで2人は同じ時代に生まれ変わるそうです。” “しかし、この世で結ばれるように全力を尽くそう。可能性がない訳じゃない。” “はい。何事も神の思し召しのように。” “そなた達の国はイスラムではないのか?” “はい。もともとは多神教でした。しかし、グラナダ連合王国になってからイスラム教になったのです。” “そうか。それではアッラーの神を心から信じている訳ではないのだな?” “心の中は皆ほんとの事は分かりませんが、私が、シャルム様をお慕いしている事だけは信じるに足る事です。” “私もそなたを、心の底から愛している。” 数日後、ナハトム王一行が、アフリカから帰還したとの報告があった。ビグドリア国はグラナダ連合国となり、完全に和平交渉はうまくいったようだ。 そしてさらに数日経って、ナハトム王達が凱旋してきた。ダリルはアフリカに残り、多数になった騎馬兵を来るべきキリスト教国との戦いの為に訓練をしている。ナリニク将軍も残り、新しく雇ったベルベル人や他のアフリカの勇敢な種属を集めて訓練をしている。なんといってもふんだんな資金が手にはいったのである。これで、圧倒的な戦力の増強がはかれた。いい事ずくめで気分が良かったナハトム王の前に元気なシャルムが出迎えに来た。 “王様。見事な采配で、ビグドリア国の制圧おめでとうございます。” “そちも元気になってなによりである。” “実は1つお願いがございます。” “なんじゃー。” “ナイーダ王妃を私の妻にください。” “なにー” 周りの家来達もざわめきたった。 王はいろんな事を考えた。 “拒否したらせっかく生き返ったシャルムを処罰せねばならないかも知れない。妻にくれと言うくらいだから、おそらく関係はあるだろう。王の妃に手を出したものは何人といえども、死刑にされる。シャルムを殺したくはない。” 心の中で許そうと思い声をだそうとする前に、横にいたブッテリアが叫んだ。 “シャルム王子を捕らえよ。捕らえて牢獄に繋いでおけ。その後は皆で協議の上きめる。” “ブッテリアよ。許してやりたいのだが?” “王様。そのようなことをしたら、グラナダ連合王国事態の秩序が乱れます。王国の崩壊はこのような事から起こるのです。王の権力は絶対です。王の物は誰にもとられてはならないのです。シャルム王子は王妃との密通の疑惑がもたれました。はっきりしたら死罪に当たります。” ブッテリアはアフリカの事でシャルムは王国に害をなすものだと決めつけていた。病気で死んでくれたらと望んでいたのだ。シャルムが次期王になれば、グラナダ連合王国はうまく立ち行かないと思っていた。是非ともここで排除しないといけないと思っていたのだ。シャルムはそのまま兵士に連れていかれ、牢屋に入れられ鍵をかけられた。アルハンブラ宮殿全体に激震が走った。どこにいってもシャルム王子の話で持ち切りになった。ナイーダも聞いた。しかしナイーダは落ち着いていた。慌ててやって来たダリアに静かに言った。 “もうすぐ私はこの世とお別れです。色々お世話になりました。” 次期ジプシーの頭領となるべきダリアは一瞬にして全てを理解した。 “もしかしたら次の世でも会うかも知れませんよ。そしたら又、仲良くしましょうね。” 謎の言葉を吐いて去っていった。 王子の処遇に対する会議は、アフリカから帰って来たにもかかわらず、すぐに開かれた。会議は紛糾し、様々な意見がでた。しかし頑強なブッテリアの意見で長老達も王の絶対を認めないわけにはいかなかった。 王も悲しそうに決定した。 “明日の早朝シャルムを死刑にする。” その事はただちにシャルムに伝えられた。シャルムは静かに笑って、 “そうか。” と言った。そして胸元から薬を取り出し飲み込んだ。 丁度その頃知らせを知ったナイーダも薬を飲んだ。 2人の死を1番悲しんだのはナハトム王であった。 “今から2日間部屋で1人っきりにさせてくれ。食事もいらない。” と言って部屋に籠ってしまった。 シャルムとナイーダの体は薬のために記憶蛋白が保存され、遺伝子がビールスやバクテリアに組み込まれやすなり、腐敗細菌や、細菌に感染するビールスなどにうまい具合に組み込まれていく。バクテリアやビールスは世代交代をくり返し生きていく。再生プロモーターが時代特性、地域特性の遺伝子も含まれ、遺伝子は700年後の日本で再生される事になるのである。
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