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作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第2回   ナイーダ姫
王子が着席したころ王妃がやってきた。
王妃は、食堂の椅子に着席するなりこう言った。
“シャルムや。また講義を抜け出して、どこかへ行っていたそうですね。報告が入って
ますよ。王様も良く講義を抜け出していらっしゃったそうですからそれは問題ないです
が、カリフの地位に着くには、勿論アッラーの御心が一番大事ですが、コーランを教え
る教師達の推薦も大事ですから、気をつけた行動をとらないと駄目ですよ。”
シャルムは
“アッラーの御心のままに!!”
と答えた。アッラーに任せていれば良く、退屈な講義などあまりたいした事では無いと
シャルムは思っていた。若者の特徴の実際の本質が大事で、形式を嫌う傾向があった。
年長のビルノアが言葉を挟む、
“最近はキリスト教徒との戦いや、モロッコでの不満国との戦いが盛んですから、戦い
の強い国王が望まれる傾向にもあります。その点シャルム王子様は剣技にも優れ、戦略
の講義もお好きみたいですから。”
ダリルも続く、
“キリスト教国との戦いも、カタルーニャ国とは五分五分ですが、カスティーリャ国に
は押されていますし、モロッコのイスラムの他派からの侵攻も数多く受けていますの
で、シャルム様の直接の御出陣も近いかも知れません。”
キリアーニは、
“その時が来たら、王子を助けて十分働きまする。”
キリアーニはアルハンブラ王国で最も強い剣士と言われている。
ダリルは言う。
“明日の実践演習は、騎馬隊での演習を致しましょう。”
ダリルは百戦錬磨の騎馬隊を持っている。1週間前にカタルーニャ国との戦いから帰って
きたばかりである。
王子以外3人の騎士は実践経験も豊富である。王子はまだ初陣をすましていない。
食事が終わると、
“ちょっと娯楽室に言ってくる。”
と言うと、キリアーニが、
“お供しましょうか?”
といって来たので、
“いやいい。お前のいとこのキアリが俺に相談があるそうだから。”
とちょっと嘘をついた。ナイーダの事なんか言ったら大変な事になる。キアリの母の姉
の子がキリアーニで、外務大臣の父親をもつ。
3軒隣の屋敷の中に、娯楽室がある。ビリヤードや古代のチェス様の物や簡易弓矢の練
習場や、歯を切れなくした剣を人体をかたどった木製の物を切って剣の練習をするもの
など色々揃っている。その中で歓談室もある、キアリをみつけ、歓談室で話そうとした
が、他にも人がいたので、ビリアード台に行き、2人で試合をしているように見せ小声
で話し合った。
“でどうだった?”
“姉が言うにはナイーダ様は”
“しー!!”
どうも周りに人がいて落ち着かない。
“俺の部屋にこそっと行こう。”
夜にお互いの屋敷に行く事は、公には禁じられているが、そのへんは皆良くやってい
る。特に男女の中では公然の秘密として、おおめに見る傾向がある。まして王子2人が会
うのを咎める人は殆どいないが、2人は用心をして、別々に歩いて行きシャルムの部屋に
やってきた。
“やっと落ち着いて話せるなあ。で?”
“ナイーダ姫様はルイトン国王の次女として、生まれたのですが、奥方様と国王様は実
に仲睦まじい関係だそうです。しかし奥方と出会う前から隣の国王と昔は両国、王子同
士の時に仲が良かったのですが、両国の間にある小さな国の姫様を取り合って、仲が悪
くなったそうです。その姫様が今の王妃様だそうです。その後、ビグドリア国これが姫
様と結婚できなかったとこの国ですが、この国はルイトン国の王妃様の出身国を滅ぼし
て征服したそうです。皮肉な事に、昨年そのナビアという国からもうビグドリアになっ
てしまった後、金が多量に産出されたそうで、その金で多数の傭兵を雇う事ができて、
ビグドリア国は勢力を増し、ルイトン国に侵攻してきているそうです。もともとはルイ
トン国が力は強かったのですが、金の産出で完全に逆転し、仕方なく美しいナイーダ姫
を我が国アルハンブラ国に差し出し、自分の国を守ろうとしているようです。“
“ナイーダ姫の兄弟は何人いるのだ?”
“奥方はただ独りなので、3人です。2歳上の姉と3歳下に弟がいます。”
“姉もナイーダと同じように美しい方であろうか?”
とシャルムの思いがあった。自分と同じ年齢という事が興味の対称となった。やはり国
王の奥方となると手は出せないが、独身の姉なら妻に迎える事も可能である。キアリは
自分と年の近い王子に興味を持った。
“で、その姉弟の名前は?”
“ジュリアーノ姫様とロルフ王子だそうです。”
だいたいの事を聞いて、シャルムはキアリを返して、部屋で妄想をはじめた。
ナイーダそっくりの姉、ジュリアーノを嫁として迎える妄想である。妄想が夢となりそ
のまま眠りについていた。
翌朝は朝食をとった後、数人の王子と共に、騎馬隊の実践練習にかかった。

ちょうどそのころ、国王の元に、ビグドリアの使者が着いていた。取り次ぎの者を介し
て、王に連絡が行く。
“王様ビグドリア国が和睦を申し込んできています。ルイトン国を滅亡させた後に、ア
ルハンブラ国との同盟関係を申し込んでいます。”
“よし!わしが迎えに行こう。”
と、言って、大きなホール前で使者と護衛の兵を1人招き入れた。王自らが迎えに出たの
で、使者はすっかり安心していた。
使者がホールの中央ほどを歩いて行き、出口方面に行く頃に、王はトビラ付近で命令し
た。
“殺せ。”
このアルハンブラのホールは不思議な構造になっており、入り口付近で話した事が、出
口付近ではっきりと聞こえる。その声は中程を歩く人には聞こえない。(嘘だと思った
人はアルハンブラ宮殿へ行って試してみるといい。入り口に1人立ち、まん中に1人立
ち、出口に1人立って、入り口の人が出口の人に話すと、まん中の人は聞こえない。)
“畏まりました”
出口にいた、兵士達が答える。
しばらくして歩いてきた使者と誤衛兵は剣で殺され、王はすぐに会議室へと向かった。
途中で命令を出した。
“大臣達を至急会議室に集めよ。”



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