門番はフード付きの服を見て容易に通してくれた。アルハンブラ宮殿の中ではかなり明るさがさしていて朝の準備で何人かとすれ違った。ここでナイーダは1つの難関がある事に気ずいた。 “護衛の兵士が2人と奴隷のお付きの女がいたわ。どうしよう?大事になるとすべてが無駄になる。” そこでナイーダは策略を思い付いた。護衛の前に着いた時、咳をしてしゃがれ声で、 “ごほごほ。どーも私は悪魔付きが移ったみたいだ。ナイーダは大丈夫か?見にきた。” するとその言葉で2人とも後すざりをし、すっととおしてくれた。奴隷女はすーっと2メーターくらい後ろに飛び退いて楽にはいる事ができた。ダリアはシャルム王子の横に付き添っている。 “まあナイーダ早かったのね。守備はどお?” 当然ナイーダは返事はせず、 “護衛の者には、は入って行く時、悪魔付きが移ったかも知れないと言ってきたので、私もナイーダも大丈夫だったと言って出て行ってね。” その言葉で全て理解し、 “ナイーダあなた成長したわね。そんなに平気で嘘が言えるとは、ジプシーの女になれるわよ。” 今では、ナイーダもその言葉は皮肉ではなく褒め言葉に聞こえる。 もう自分は必要無いと思ったダリアは出て行った。 “私も悪魔付きは移ってなかったし、ナイーダも大丈夫だったわ。” フードをとったダリアが言うと、奴隷女も、門番も近寄った自分が安全だと思いほっとしたようだった。 ナイーダは早速、丸薬をシャルムに飲ませ、水を与える。脱水状態にあるのでいつものように水は多く飲む。布に水をたくさん含ませ体のあちこちに置いて冷やすが、いつもより熱が高くなっていく。 “かえって悪くなっているのではないだろうか?” ナイーダは気が気じゃない。冷たい水の中に裸で10分間程はいる。寒くて寒くてしょうがないとこで裸のまま王子の上に乗り全身を冷やす。熱い王子の体が気持ちいい。昨夜眠れなかったのでうとうとし始めた頃、王子の意識が戻った。苦しい戦場にいた自分がいつの間にかナイーダの下にいた。下半身はギンギンに緊張していた。そのままナイーダを抱き寄せ下にしてキスをして胸を手で揉み、あっという間にペニスが膣の中にはいりシャルムは至福の時を迎えた。ナイーダもすぐ気ずいた。嬉しくて嬉しくて涙が出た。その時熱いキスをされ、天国に登るような気分になり、乳房が気持ち良くなり、下半身に痛みを感じた後、今まで感じた事のない嬉しい幸せな状態に心も体もなった。その後熱いものが下半身に流れてきて意識が薄れていく。 “シャルム様は大丈夫だろうか?” と思ったら、気持ち良く寝息を立てている。今までの意識の無かった時とは違う。と思いながら静かに眠りに着いた。 2人が同時に目をさましたのは約3時間後だった。シャルムはナイーダの上で寝ていたが、起きだして、 “ああ、私は何と言う事をしてしまったんだ。” と小さく呟いた。 “シャルム様。愛してますわ。” その言葉に嬉しくて、また何もかも忘れ、 “ナイーダ私も愛している。フェラリフェーネのあの中で花にも負けないあなたを見た瞬間から。” もう2人に言葉はいらなかった。2回、3回と若い二人は愛しあった。 悲劇の主は、女奴隷であった。部屋の中の異様な感じから、、 “シャルム様が気がつかれたのだろうか?” と思ってそっとドアを開けてのぞくと、2人が愛しあう姿と、少し押さえた動物の喜びのような変な声がしている。 “もしやこれは。” 王妃を奪ったものはいつでも惨殺される事を知っている女奴隷は、ドアを締め、 “私は何にも見ていない。私は何にも知らない。” と頭を抱えて座り込んでしまった。 気が気でない奴隷女ツバリテルは、夕方、ナイーダから、 “王子様が気がつかれた。お食事の用意を。” と言われたので、 “私が何も言わなかったら、このままおさまるんではないか?” と喜んで、食堂に行き、 “王子様が回復され、食事を欲しがっています。夕食は2人分お願いします、” と頼んで、部屋の外に戻ってきて、護衛の兵士から運んできた食事をもらい部屋の中に入れて、 “お食事の用意ができました。” と叫んだ。 中からは楽しそうに話声が聞こえた。 “余り楽しそうに話さない方がいいですよ。” ツバリテルは心の中でそう言った。 “まだ私だけしか知らないから。私は命をかけて黙っていてあげるから。これ以上仲良くしないで。” アルハンブラ宮殿全体が、喜びに包まれていた。シャルム王子が蘇った噂は、護衛や食堂から知れ渡っていった。 イサクがぶつぶつ云いながらやってきた。 “そんなはずはないんだが?もし治っていたらそれは奇跡だ。” モナム統轄大臣も後に続く。モナムは護衛の前で待ち、イサクだけが中にはいる。 食事を終わったばかりの2人はイサクを出迎える。食後3回目の薬を飲んでいるが、薬の事はナイーダから堅く口止めされていた。 “もし薬の事を云ったなら、私は自殺します。” そうまで言われると黙っていないといけない。 また薬の事を聞くと、 “それは絶対に言えません。あなたも薬の事は忘れて下さい。” と言うので、もう何にも聞けなかった。イサクが診察しても完全に治っている。 イサクは2人の間に微妙にただようおかしな関係を察知したが、 “それは私の感知するところではない。” と思い、モナムを中に入れた。 “モナム様。完全に治っています。”
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