20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:700年後の恋 作者:兵藤 順一

第12回   ナイーダ強盗にあう
 その日は何も無くて終わった。夕食を食べると、看病の疲れで熟睡した。夜中の2時過ぎに2人の刃物を持った男達が、マレナリアを縛っていた。ナイーダに刃物を首筋に当て、
“おれたちは強盗だ。金目の物を全部よこせ。”
と言って、ナイーダの身につけている指輪、首飾り、頭につける金の頭飾り、腕輪、足輪などを取ってしまうと、
“お前は、ジプシーか?”
と尋ねてきたので、
“いえ、アルハンブラ宮殿から用があって尋ねてきました。”
と言うと、
“何の用だ?”
と聞かれたので、とっさに、
“王様が、アフリカに遠征為さっているので、無事を祈ってお祈りしてもらいに来ました。”
ジプシーは、占いやお祈りなどをするのも有名である。
もう1人が、その部屋のいろんなものを探していたが、
“兄貴。大したものはありませんぜ。”
と言った。ナイーダの首にナイフをかざして、
“おい!他に金目のものはないのか?”
と恐ろしい顔でおどす。
ナイーダは人におどされた事など一回も無かったので、恐怖におののきながら小さな声で呟いた。
“ありません。”
すると子分の方が、マレナリアにナイフを当てて、
“ジプシーの秘密とかそういう話は無いのか?”
と言ったので、マレナリアは、
“ありません。”
と答える。
“嘘をつけ。この首をかっ切ってやる。”
首に当てられたナイフが皮膚に食い込み、血がほとばしる。
“わ、私は知りませんが、そのナイーダ様は何か聞いているようです。”
2人の強盗は、ナイーダの周りに集まってきた。
“お前!何か秘密を聞いてるな。”
“いや知りません。”
“このナイフを心臓に突き立てるぞ!“
恐くてたまらなかったが、どんな脅しにも口を噤んでいた。
“この女強情で、なかなか口を割らないぞ。夜も白み始めたから、こっちの女を攻めようか?”
“私はそれ以上何にも知りません。私はただの下女なんですから。”
“フッフッフ。そうじゃ無いんだ。おいナイーダとやら。お前が秘密を喋らなければ、この女を殺す。いいか?お前が喋ればこの女は助けてやるが、喋らなければ殺すぞ。”
“待って下さい。私の命をとって下さい。その人は助けて下さい。私は何にも話しません。”
“ほう。話しませんと言うのは何か知ってると言う事だな。”
嘘を付いた事のほとんどないナイーダはついこう喋ってしまった。
“これでは駄目だ。もっとしらばっくれないと秘密は守れない。”
ナイーダはこう思って、しらばっくれる方法を会得した。絶対に秘密を守り抜こうと決心すると、強くなり、恐怖心もなくなってくる。
“本当に何も知らないわ。ただ王様の勝利を祈願しに、来ただけなの。”
ナイーダは自分の頭をブロックしてしまった。
“私は王の勝利を祈願しに来ただけなのだ。”
と無理矢理思い込んでいた。こうなると女性は強い。何ごとにもたじろかなくなる。もう泥棒がなんと言っても知らぬぞんぜぬである。合を煮やした泥棒は、
“おいその下女を殺してしまえ!”
とナイーダの首にナイフを当てている方が、手下に叫んだ。
“お前が喋らなければ、この女が殺されるんだぞ。”
ナイーダは黙ったままである。
“兄貴本当に何も知らないのかも知れませんぜ。”
ナイーダは
“マレナリアが殺されると自分もシャルムも死ぬつもりである。そうすると少なくともダリアは助かる。話せばおそらく4人とも殺される。いや、泥棒さえも殺されるかも知れない。そうすれば話さないで3人殺されたがましである。”
全くナイーダはたじろかない。
“シャルムとの永遠の愛に生きるつもりになっている。ジプシーはよく永遠の愛と言う。ナイーダも愛は永遠のもの”
と思いつつあった。
丁度その時、隣のアネルダの屋敷が騒がしくなった。
“ナイーダ様の家が変だぞ。”
“泥棒がはいったのでは無いか?”
“武器を持って駆け付けろ。”
泥棒は慌てて逃げ出した。アネルダのお付きの3人がやってきた時ナイーダは虚脱状態にあった。
“助かったのだ。”
そう思った。マレナリアが叫ぶ。
“向こうの方向に逃げました。ナイーダ様の首飾りなどをとったようです。”
“まかしとけ。”
3人で追いかけて行く。3人とも強そうである。
2人の下女がマレナリアの縄をとき、アネルダもやってきて、
“大変な目にあったわね。でもあの3人がきっと泥棒を捕まえてくれるでしょう。3人とも足が早く腕っぷしの立つ連中だからね。”
ぼんやりとアネルダを見ていたナイーダは意味ありげに、ニコッと笑った。
その早朝はナイーダはもう眠れなかった。少し興奮していたのだ。
翌日、ジプシーの食べ物を食べて、ナイーダはマレナリアにジプシーの話を聞いて、アフリカの自分の国の話をした。昼過ぎに、3人のお付きの者達が帰ってきて、
“泥棒をとっ捕まえました。ナイーダ様の大事なものも取り返してきました。”
と言って指輪や腕輪、首飾りなど全部ナイーダに返された。ナイーダは心のそこで、
“もしかしたらこれはお芝居も知れない。何にしても絶対秘密は守ろう。いや全く知らないものと思い込もう。”
と思った。
夕食後、アネルダがやってきて、
“私は用時があって、ちょっとでてくるからね。留守番を頼んだよ。隣の家に3人の今朝お宝を取り返した連中がいるからね。何かあったら大声をあげればすぐやってくるよ。マレナリアも頼んだよ。”
と言って、出て行った。



← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 13244