ナイ−ダとダリアは一緒に風呂にはいった。日焼けした逞しいダリアに比べナイ−ダは色が白く透き通った体に、きれいな赤い血管が全身をおおっていた。 “ナイ−ダあなたきれい。” ダリアは思わず発してしまった。白、いや透明とも思われる体に、柔らかでふくよかな乳房が2つ、まるでギリシャ彫刻を思わせる美しい裸体である。お互い体を洗いあってさらにダリアは驚いた。 “あなたの肌、滑らかで私の手が吸い付くみたいだ。” 吸い付く様でさらさらとした触っているダリアがうっとりとするような肌であった。 “これはナハトム王は夢中になってしまうのではないか?” とダリアは思った。 “ナハトム王はとても幸せな方だな。” ナハトム王を愛するようになったダリアは軽い嫉妬を覚えながらそう思うのであった。 2人が風呂からあがり、それぞれ侍女達からお肌や髪を整えてもらっている頃、お城のホールの方がざわめいていた。 “何があったか、見ておいで。” とダリアが言って、侍女が見に行った。 やがて侍女は走って戻ってきた。 “大変でございます。シャルム様が、重症で殆ど意識が無くて担がれてやってきました。” 2人はすぐに上着を羽織って出て行った。 “私のせいで、シャルム様が傷付いてしまった。” “あなたのせいではありませんよ。” “助かってくれたらいいんですけど。” “医者に見せなければ、分かりませんが、アルハンブラには世界中から名医が集まっていると聞いてますから大丈夫ですよ。” ホールの横のベッドルームに着くと、そこにシャルム王子が横たわっていた。その横には消衰し切った、ダリル、キリアーニ、そして少し離れてアベルが、悲しそうでそして、とても疲れていた。おそらく寝ずに馬車を疾駆させてきたのであろう。 そこへナハトム王が、医者を3人引き連れてやってきた。すぐに、 “ダリル御苦労であった。皆の者も遠路王子を運んでくれてありがとう。後は医者に任せて充分休んでくれ。では、王子を診てくれ。” と言うと、3人各々脈を診たり、熱をはかったり、胸を叩いたり、お腹を触ったりしていた。その後、3人で協議していた。 3人の協議はだんだん熱を帯びてきた。そして皆が頭をうなずくように話し、王の前に進み出た。代表者のイサクが話す。 “悪魔付きだろうと思われます。” 悪魔付きは、現代の敗血症に当たり、大量の抗生物質により治るものもあるが、重症者は今でも死にいたる。この時代はほぼ100%死にいたる。さらに続けた。 “もしかしたらアフリカ特有の血を吐く悪魔付きの可能性もあります。いずれにしてももう助かりませんし、血を吐く悪魔付きであったら他の人も悪魔が乗りうつり、その人も死んでしまうので、奴隷女1人に任せて、皆この部屋にははいらない方が良いでしょう。” 多分エボラ出血熱の類いの病気も想定したのであろう。 “そうか。” と王が言うと、 ナイ−ダは強い調子で、 “王様、私に看病させて下さい。私の為に病気になったようなものですから。” 王もその時は早くこの場から立ち去りたかったし、王子のこのような重態に動転もしていたので、 “ではナイ−ダ頼む。その他の者はここに近ずかないように。” そして、イサクに “そなたもたまに診てくれないか?” と言うと、 “王様、私が倒れますと、国民皆が困ります。” と言うので、 “分かった、ではナイーダ頼んだよ。” と言って、皆退散した。 ダリル、キリアーニ、アベルにとっては、ふらつきながらシャルムの館に戻り、シャルムの母親に報告すると言う辛い仕事が待っていた。 館に戻り、消衰した3人を見て、シャルムの母、ビネリ−王妃が驚いた。 “どうしたの?3人ともこの世のものとは思えませんよ。” “シャルムに何かあったの?” “シャルム様が負傷した後、高熱を発し意識がありません。医者は悪魔付きだと言っています。” “あなた達は休みなさい。” そう言うとナタリーを連れて王宮へとでかけた。3人は1階の使用人の部屋で死んだように眠った。 王宮では護衛の者がシャルムのいる部屋の中に入れなかった。 そこで王を尋ねた。 王は統轄大臣のモナムと密談中であったが、かまわずはいって行った。 “王様シャルムの具合はいかがでしょうか?” “おお!ビネリーか?残念ながら助からないそうだ。この高熱が1週間から10日程続き、そのまま死んでしまうそうだ。血を吐く悪魔付きでは無さそうだが、もしそれだったら、ダリル達も悪魔が乗り移っているかも知れないので、様子を見ておいてくれ。シャルムは傷から悪魔がはいったそうだ。” ビネリーは泣き崩れた。王は申し訳無さそうに、 “悪いが、我々は、シャルムのあだ討ちをするつもりなのでその事を相談しているのだ。ビネリーを別室に。” と言うと、メレニアが、奥からやってきて、 “ビネリ−様こちらへ。” と連れて行った。 ナハトム王は、シャルムが傷ついて戻ってくるとすぐに、カスティ−リャに遣いを出して、マドリ−ドをやるので和平を結び、1万を残し、3万の兵を引き上げさせる命令を出していた。ブッテリアからの手紙で、アフリカでの戦いはベルベル人が裏切った事など詳しく書いてあったので、戦争なれしたナハトムは、3万の兵と、シャルム王子が死に瀕している事で威圧すれば、和平交渉で、金山の8割程の権利は奪い取れると踏んでいる。ブッテリアからは手の者を使って金山の埋蔵量の見積の報告も来ている。その金山の金を使えば、5万程のアフリカからの傭兵を雇う事ができる。 “ブッテリアからの報告で、ビグドリアの騎兵達はダリル達と5分に渡りあっていたそうですから、それもカスティーリヤ征伐にまわしてもらえば、マドリードはすぐに奪い返せましょうぞ。” モナムの低い声が響く。 “わしは、明日出立しようと思う。3万の精鋭とはグラナダでおちあうつもりじゃ。シャルムが死ぬのを見るのは忍びない。後の事を色々頼むぞ。” そうやって後のすべての事を、統轄大臣のモナムに任せて翌朝ルイトン王国を目指して旅立って行った。 ナイ−ダは独り付きっきりで、シャルムの看病をしている。40度以上ある熱は、水で冷やしてもすぐ熱くなる。水やス−プを飲ませるのも時間がかかる。ドアの外には、交代で女性の奴隷が居て、ナイーダの要求は何でも聞いてくれるが、うつるのが恐ろしくて、近寄ってはこない。自分1人なのでナイ−ダは思いきって裸になり水風呂の中に居て、完全に冷えきってからシャルムの上におおいかぶさる。そうするとかっかした熱が少しはさめる。何回か冷やしているうちに自分の大腿に堅いものが触れるのが気になった。シャルムのペニスが勃起しているのである。 “あら。ここは元気だわ。きっと生き返るわ。” しかし、熱心な看護にもかかわらず、シャルムの意識は回復しなかった。
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