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作品名:天才医師の殺人事件解決帳@ 作者:Hei George

第3回   南医師登場
“ちょっと外で南の到着を待ちます。”
と言うので美穂も死体のそばに一人いるのも変だし、右ソケイ部の傷跡も少しは気になったが黒さんの言うようにあまりにも小さな虫が刺したようなものだったので美穂も少しだけ違和感があったけど部屋を出てアパートの前で待った。南関の交番から2人の巡査が数十人集まった野次馬を制していた。もう黒田は完全にいなくなっていた。
そうしたら向こう側から汗をかきながら風体のさえない男が自転車でやってきた。その自転車もややくたびれた感じがする。吉野は走って近寄っていき、
“久しぶりだな!お前!颯爽と車で来るかと思ったらなんやこの自転車は?”
“おお!吉野か変わらんなあ。ところで死体はどこだ?”
“アパートの中ばってんが、どうも熱中症とか・・・・・・”
そこで美穂が、
“どうもお忙しい中お呼び立てして申し訳ございません。私は熊本県警の坂井と申します。鑑識が熱中症と言う死体がありますが、検死をお願いします。”
“熱中症で間違いありませんか?”
“鑑識はそうだと言っています。”
“ふむ。”
と言い。周りを見回した。そして腕時計を見る。
“10時20分ですね。”
“ええ!10時20分です。”
美穂もつられて腕時計を見た。吉野が、
“お前のとこの受付。たいがい態度が悪いな!ちゃんと教育しろよ!”
と言うので、美穂は、
“これ吉野!友達だと言っても失礼ですよ。”
“いや、大丈夫です。だがな、受け付けは、”“お前は大変ずうずうしい警官だと言っていたぞ。”“”“あいつはあんな奴だから勘弁してね。”“って謝っていたからな。”
“なんば、あやまっとるんや。そんな受付。首にしろ。お前は院長やろうが?”
“お前は変わらんなあ。警官になってよかったよ。それ以外のシャバじゃあ通用せんよ。”
“お前に言われとうないわ。”
美穂には、久し振りに会ったばかりにしては、二人は本当に仲がよさそうに思えた。
南はアパートの中には入って行った。そのあとに美穂、吉野と続く。
南は振り返って、
“吉野。今外に3人この現場と違和感がある人物がいるので職務質問に行ってくれ。”
と言われた。美穂は、
“この現場と違和感?”
と聞くのと同時に、吉野が、
“ケン!その3人の似顔絵描いてくれ。”
と言いメモ帳を差し出すと空きページに3人の似顔絵をさっと描いてもらった。吉野はそれを持って飛び出していく。南は死体とは別に部屋の中を眺め、
“窓はあんた達が開けたのですか?”
と聞いた。
“ええ。死体はこちらですけど。”
と言うと、
“何事もまわりを見ることが大事です。”
と答えた。
“はあ。”
と生返事をしながら、
“早くしてくれないかな。”
と少しイライラしてくる。
南はぽつんと、
“これは熱中症ではなく殺人ですね。”
と言った。
“なんですって。”
鑑識が熱中症と言っているのにそして死体を見もせずにそういうとんでもないことを断言するのにかなり怒りを覚えて、
“どうしてそう思うのですか?”
と聞くと、
“では死体を見ましょうか?君!このご遺体の服を全部脱がせてください。”
吉野の代わりに這入ってきた巡査にそう頼んだ。美穂は、
“どこに殺人の証拠があるのだ?”
といぶかりながらも服を脱がせるのを手伝った。服を脱いだ遺体をよく眺めていたが、
遺体の口に鼻を近づけて、
“坂井さんでしたね。ちょっとこのご遺体の口のところに鼻を近付けてください。”
と言って鼻を近付けると遺体の胸をぐっと押した。
そうすると芳香が匂ってきた。
“エーテルだわ。”
警察学校で習ったエーテルのにおいに気付き、
美穂が言うと、
“そのとおり。エーテルをかがされて眠らされて、薬物を注射され死亡したようですね。この右のソケイ部が注射の後でしょう。はっきりさせるためには司法解剖をしなければいけません。私がやりますから荒尾市民病院の解剖室を借りてください。病理解剖室がありますのでそれを借りましょう。私は司法解剖の資格があるから問題ありません。なんなら私が話しましょうか?”
と言うので、美穂は解剖とか殺人に主体的に取り組むのはまだ慣れていなかったので、
“すいません黒田さんと連絡を取って聞いてみます。”
と言って携帯で黒さんに連絡を取った。南がダイヤルの途中で、
“黒さんか?なつかしいなあ。”
と言うのを小耳にはさみながら携帯を耳にした。


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