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作品名:タイムマシン稼働マネージャー 作者:Hei George

第7回   会議
翌朝、さわやかな目覚めで、8時20分ごろ時間局に行くと、係長が待っていて、
“今日は、加藤啓太をまた、タイムマシンで3000年前に送り込んでいいかどうかの会議をする。10時から会議があるからそれまでは、脳監査装置は使わずに、のんびりしていてくれ。時間局内部を見て回ってもいいし、君がいつもレポートを書く部屋で、昔のレポートを読んでもいいから、とにかく疲れないようにして待っていてくれ給え。私は本日の会議の司会をするから、忙しいんだ。10時10分前に君の前にウサギが出てきて案内してくれるから、あまり遠くへ行かないでいてくれ給え。”
と言って忙しそうに、去って行った。優喜は一旦は、以前のレポートを見て、過去の経過を知ろうとしたが、時間局内部もレポートを書く部屋と、講義をした広いホール以外は知らないので、時間局の内部の近場を見てみることにした。入口のセキュリティーをくぐった場所は広いエントランスになっているが、そこから道が正面と、右と左に分かれている。前回はウサギが、右側に案内して、ドアが自動的に3つ程あいた記憶がある。今はウサギはいないので、ウサギの案内と同じ方向に行ってみることにした。ゆっくりとみてみると、室内の色は、かすかにベージュをかぶった白色で、廊下の両側に各々部屋がある。部屋は完全に閉じられていて透明に見えるが、中は見えない。各々の部屋には前に立っても開かない。優喜は暇だったので部屋の数を数えながら、前に進んだ。おそらくこのドアだと思う5番目のドアに立つと、そこは開いた。優喜のことを覚えていて開いてもいいドアになっているのだ。そのドアの両側にもドアがありまっすぐ言った覚えがあったが、右のドアに立つと右は開いた。そこには机とコンピューターそれと見たことのない機械が一台あり、女性が忙しそうに操作していた。優喜が頭を下げると、科学メガネをかけたその女性は軽く会釈をしたが、尚も忙しそうにその機械に取り組んでいる。優喜は邪魔してはいけないと思い元に戻って、左のドアの前に立ったが開かない。まっすぐ行くとまたドアが3つある。どうやらここは右、左、真ん中とドアが続く。ここは右に曲がるとホールがあったような気がしたので、まっすぐ行くと、そこは食堂だった。朝食を食べている人が多かった。コーヒーでも飲んで行こうと思ったら、ウサギが突然出てきた。
”コーヒーをお望みですか?“
と来たので、
“ブルーマウンテンのブラック、砂糖、ミルクなしで”
と言うと、
“席はいかがいたしましょうか、ただいま暇な人で合い席が4つございますが、もちろん一人の席もございますが。”
この時代は、合い席で友達を増やしていくような時代である。
“合い席のかたの職業性別は?”
と聞くと、
“タイムパトロール、男。時間局課長、女。時間局技術者、男。清掃派遣業務、女。”
と言われたので、
“タイムパトロール、男”
と言うと、
“相沢さん。合席OKです。ご案内します。”
と言って、ウサギは右側の席に案内した。そこにはコーヒーがもう出ていた。
“戸田です。”
と言うと、
“相沢です。今日の会議でご一緒すると思います。”
と言われたので、
“タイムパトロールはどんな仕事なんですか?”
と聞くと、
“時間を行ったり来たりして、不正を働くことがないように監視して、時には、不正を行う人を逮捕することもいたします。”
と言ったので、
”どういう不正があるんですか?“
と聞くと、
”たとえば、競輪や競馬は未来からすると結果が分かっているでしょう。そういうのを分かって、過去に行って儲けようとする犯罪者を捕まえることなどです。又、他にも、色々ありますが、時間局の規則で歴史に関することは全く言ってはいけないことになっています。ただし、TMの人とは、そのTMの関係した個人の秘密については、ある程度のことは話していいことになっているので、私も、あなたとお会いするのはうれしいんです。これからもよろしくお願いします。とにかく私たちは時間局の規則でほとんど話してはいけないことばっかりなんです。だからその一部でも聞いてもらえる人がいるのはとてもうれしいんです。“
と言ったので、
”加藤君や毛利さんのことを聞いてもいいですか?“
と言うと、
”ここでは駄目です。私の部屋か、あなたの部屋に行ってコンピューターを完全に遮断してからではないと話せません。今度の私の休みは3日後ですから、3日後の5時過ぎに私のうちに来てくれたら話してもいいですよ。夕食でも一緒に食べましょう。20世紀のマグロがあるんですよ。まあいろんな時代のいろんな食べ物を持ってこれるのも私たちの役得ですかね。“
と言われたので、赤外線電磁波で、私のエアーカーに相沢の住所をインプットしてもらった。
“戸田さんは何が得意ですか?”
と聞かれたので、
“カメハメ波ゲームで昨日73万点とりました。”
と言うと、
“それはすごいですね、九州では56万点が最高と聞きましたが、九州チャンピオンなんじゃないですか?”
と言ってきたので、
“いや関西でしたんです。関西では120万点が最高でした。”
と言ったら、
“私は1万点をなかなか超えないんですよ。怪獣ギデンスカがなかなか倒せなくて。”
と言ってきたので、ギデンスカの倒し方を教えたり、その他のカメハメ波ゲームの攻略法を話していたら、ウサギと、もう一方は優喜には見えないが、相沢は犬と言っていた動物が出てきて、
“時間です。”
と言って2人を案内してくれた。食堂には4つのドアがあったが、優喜が入ってきたドアの右のドアがあき、まっすぐ行くとエレベーターがあり上方に上り止まったところに前進するとウサギがまっすぐ行きドアが開くとそこは会議室だった。相沢は右のほうへ行き会議室の優喜の一番対面の奥のいすに座った。右側に係長が座っていた。ウサギが、
”右手が時間局係長、山田、その右が、時間局課長久保田、その右に時間局部長畠山、真中はタイムパトロール相沢、その向かって左が精神科医垣田、さらにその向かって左が、精神科医吉田、その向って左、あなたの左手が、歴史学者多田隈です。“
と教えてくれた。その2,3分内に全員がそろったので、係長山田が、
“皆さんにはコンピューターからの個人データーが伝わっているので、早速始めます。
タイムパトロールの相沢さんは、結果が分かってはいても黙っていてください。議題は、加藤啓太を3000年前の世界へ再び送っていいかということです。戸田さんが初めてなので、時間局規則を言いますので、皆さん手を挙げて復唱してください。“
”一つ、歴史は変えないこと。“
“一つ歴史は変えないこと。”
”一つ、人は殺さないこと。“
“一つ人は殺さないこと”
”一つ、仕事上知りえた歴史上の秘密は、決して口外しないこと。“
”一つ、仕事上知りえた歴史上の秘密は、決して口外しないこと。”
全員が復唱し、係長が言った。
“加藤啓太はレポートによると1ヶ月(後26日後だが)また3000年前の世界に帰りたいと言っているが、それを許していいものかどうか皆さんの意見を聞きたい。両親と弟は、本人の希望するようにさせてやってほしいと言っているようだが、”
精神科の女医である垣田が言った。
”この世界にいると発病する恐れがあります。“
歴史学者の多田隈が、
“3000年前に戻すとジアイとともに神武天皇を殺してしまうのではないですか?”
すると相沢が、
”これ以上は申し上げられませんが、それはありません。“
ここで、優喜はやっと係長が言った。
”相沢さんは結果が分かっている“
という言葉が理解できた。
久保田課長が言った。
“歴史を変えないんなら、両親も同意していることですし、送り込んでもいいんではないですか?”
すると、畠山部長が、
“戸田さんはどう思っていますか?”
優喜は相沢が言った言葉を深く考えていたがつまり、
“送ってそれはなかったのか、送られずにそれはなかったのかを考えていたが、たぶん送って何もないのを見たんだろう”
と思い、
“私は、加藤君の思うようにしてあげたがいいと思います。”
年をとった精神科医の吉田が、
”その方が、この世界にも3000年前の世界にも、本人にもいいようじゃの。“
と言ったので、部長が、
”そしたら、送りこむことに決定しよう。それから今世界会議で、TMに過去から戻ってきた人たちの世話をさせるというのが決まり、我が国の国会でも来週決まることになり法整備がそれから整った後、ますますTMの仕事が大変になるが、戸田さん大丈夫かね?“
と言われたので、加藤君や、毛利さんの面倒をむしろ積極的に見てあげたい気がしていたので、
“私のほうからお願いしたいくらいです。是非、やらせてください。”
と言ったので、断られると給料を上げてでも無理に頼もうと思っていた部長は、
“これで給料は据え置きだな。”
と心の中でほくそ笑んだ。ちなみにTMの給料は国際水準からすると日本はかなり低い。日本人の労働意欲はうまいぐわいに官僚に利用される傾向は、未来も今も変わっていない。
会議が終わった後、相沢から、
“さっきの食堂で食事していこう。”
と誘われ、カメハメ波ゲームの続きを話しながら食事を終えた。そして、相沢の、
“じゃあ3日後に私の家で・・・・・。”
と言って、別れた後時計を見ると、12時半だった。やる気むんむんの優喜は今日も一人レポートを仕上げて帰ろうと思った。


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