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作品名:タイムマシン稼働マネージャー 作者:Hei George

第6回   優喜の休日        
時間局係長のレポート
戸田優喜君は脳監査システムによって選ばれ、精神異常者の脳監査には強いはずであるが、本日嘔吐があった。さらに、一日休暇を申請してきた。やはり、脳にダメージがあると考えられる。前任者のように途中でやめなければいいが、前任者と同じで、遺伝子の配列で脳監査に強い配列というデータも当てにならないかもしれない。給料をもっと高くしても教育をしっかり受けた精神科の専門医の雇用が必要かもしれない。

優喜は明日は昼食に物質転換装置で作った食事ではなく、自然食のレストランに行こうと思った。全国に5か所あるが、神戸牛が食べられる神戸に行こうと思った。九州から神戸にエアーカーで行くには、ワープ飛行を申請しないといけない。25世紀の末、光の速さを超える速度が発見され、時間を超える装置の開発がなされた。それと同時に空間を飛び越える理論が開発されいわゆるワープ飛行ができるようになった。しかしワープ飛行をするには、空間監理局に申請して空間を超える手続きをしないといけない。2つの空間の歪みがぶつかる時にすごいエネルギーが発生する恐れがあるからだ。コンピュータを通じて本日、明日の12時にワープ飛行を申し込んだら他の人が申請して許可を出しているので、11時35分か12時15分ではどうかと尋ねてきたので、11時35分にワープの行きを帰りは3時丁度に許可があった。軽い頭痛が続いていたので予約後、早めに夕食をとって早目に眠った。エアーベッドで延々と14時間眠り続けた。優喜の脳はすっかり回復していた。さらに優喜の脳は、自分と他者の精神を同調しないように切り替わっている。これは10万人に一人いるという自分も人も全く客観的に見て動じないという遺伝子が発動したのである。優喜の年で初めて発動するのは珍しい。ふつうは小さい時に発動してそれが性格形成に関係してくる。そして割と社会の上部に位置する地位を得る。そういう意味では、時間局はすごく得をした。優喜は14時間眠った後すっかり頭痛はとれ、自分が何だか変わってしまったような気がした。朝食を軽めにとり、今朝のニュースを立体テレビで見た。以前はニュースを見て興奮していたが、何故それが起こったか、そしてどういうことをするとそれを防御できるかという面を考える自分に気づき、不思議に思った。立体テレビの後音楽を聴き、くつろいでいると、コンピューターから、
”70万の振り込みがありました。20万は危険手当です。“
と言われたので、
”20万はタイムマシン前の脳監査の特別手当だな。“
と気づいた。
そしてたぶん今からは、どんなに厳しい精神異常でも大丈夫な気がした。
11時30分過ぎにエアーカーに乗った。
しばらく運転したあと、ワープスポットについたので。
“ワープ。”と命令したら、神戸のワープスポットについた。28世紀は道州制で、北海道、東北、関東、中部、関西、中四国、九州に分かれている。九州から関西にワープしたことになる。自分で少し運転して、神戸自然食食品レストランへ着いた。ここでは、農家で栽培した野菜と、実際の牛肉を料理して食べさせてくれる。
“牛肉を食べるなんて野蛮なことをやめよう!!”
“命を大切に”
と書いた空中プラカードを横目に見ながら、優喜は生まれて初めて食べる牛肉に期待が高まる。もちろん、本当に作った野菜も初めてだ。いつもは物質転換装置で食べるものだけだからだ。エアーカーをエアーカー駐車場に着けると、人間の店員が丁寧に迎えてくれる。最近のほとんどの店はロボットである。メニューを見ると、
牛ステーキ定食9万円と書いてあった。そのほかのものも10万前後だ。
“以前の給料だったらとてもこんな店には来れないな。”
と思いながら、
“牛ステーキ定食1人前と27世紀のワインを注文した。27世紀のブドウが良質だったからだ。”
すると、
“ワインのお申し出のかたは、飲む前のエアーカーの自動設定をお願いします。”
と言われたので、
”戸田優喜、32歳、12時40分店を出発、アミューズメントパークに13時ごろ到着、14時55分ごろアミューズメントパークを出発、15時のワープを経て、九州2−11−134地区へ帰宅予定。“
とコンピューターにつなげると、
“了解しました。”
聞きなれた優喜のエアーカーからの連絡が入った。
優喜は実際の神戸牛と野菜はおいしく感じた。いや感じないとなんだかもったいないような気がしてそう感じさせた。実際は物質転換装置で出てきた味とそうは変わらなかったのかもしれない。ほろ酔い加減で、アミューズメントパークに着いた。優喜はアミューズメントパークに行くとカメハメ波ゲームのパワーを3万円分買った。いつもは3000円でゲームをするので5万点前後しかいったことがない。カメハメ波ゲームとは20世紀に日本で流行ったドラゴンボールが、21世紀にアメリカで実写版で放送され、ますます世界に流行し、22世紀になってゲームができた。お金を払ってパワーを買うと、次から次に出てくる怪獣をカメハメ波で倒していくゲームである。強いパワーによって強い相手を倒せるが、タイミングや当てる角度、急所などをよく知っていないとなかなか高得点には行けない。優喜には得意のゲームである。ゲーム機の中に入ると怪獣が出てきて、
“カメハメ波”
と叫んで、両手を開いた形にするとコンピューターから電磁波が作成され怪獣に当たる。
そうしてどんどん森の奥にはいって行き強力な怪獣と戦うのである。14時50分にタイムアウトを設定して、ゲームに入って行った。優喜は怪獣を300匹ほど倒して、73万点に達したころ、そろそろ時間ですと言われ、
“あとパワーはどれだけ残っているか?”
と聞くと、
”200パワー残ってます。“
と言われたので、
“あと1万点は取れたな。”
と思いながらも、ゲームを終了した。単にお金を使ってパワーを購入したよりも優喜の技術が上がったような気がしていた。
それから、充実した気分になり、九州に帰った。


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