台本は悟空、別名は山田隆二の仕事場から始まった。自動車会社のエアーカーのワープ速度を速める部門にいる山田隆二は自動車会社では厳しい課長である。今日も部下をしかりとばしたり、技術指導をしながら1日を過ごした。5時に帰宅すると、街の変身ボックスに入り華麗に変身する。髪は金髪、目はグリーン。そしてカメハメ波ゲームをしてストレスを発散させるのが日課である。いつもは一人だが最近は供花大学の物理学の講師とペアーを組んでから宇宙に行き始めた。宇宙での怪獣にやられてゲームオーバーを繰り返すことが多い。今日もカメハメ波ゲームのとこで待ち合わせしていた。 供花大学の物理の講師は、チチ、西条かおるの役だが、チチは女性を2人連れてきた。そして2人を山田隆二に紹介する。香山美香、ミドリと、紀子、女優名は美里サチ、役名はジュンコである。ミドリとジュンコは姉妹で、ミドリはミャンマーに美術留学していた芸術家、ジュンコは高校生である。チチは、 ”この2人すごいのよ宇宙でも怪獣をどんどんやっつけてしまうの、だからこの4人で組めば{海}に行けるかもしれない。“ しかしジュンコが反発する。 “私やだー。女性かと思ったらこんなおっさんじゃないの。おまけに金髪ときている。頭おかしいんじゃないの?” ”君こそ金髪じゃないか?高校生でそんな髪をしていていいのか?こっちこそお断りだ。“ ものすごく反発する2人を同級生のチチとミドリが、 “4人で協力すれば、今まで誰も行ったことがない{海}へ行けるかもしれない” と説得し、渋々とゲームを始める2人だった。 ゲームは本当に4人でやってもらうように設定されていた。そしてアドリブで仲の悪い2人がだんだんと仲良くなっていくように台本は書かれていた。 ”そんなことができるだろうか?“ 優喜は心配だった。 “第一、紀子はゲームを僕ら3人の様にうまいのだろうか?亀鳥さんは2人がコーチをしてうまくなっていると言っているが、あの2人と自分は特別にうまいので、ほとんど素人の紀子が僕らについていけるわけがない。そういう役をするのならともかく自由にゲームをやったら3人と紀子の差が一目瞭然になるだろう。” そうやってゲームをしてから“海へ”ついてからの台本が大変だった。映画はそれからが本番であると書いてある。それからは紀子すなわちジュンコと悟空が恋愛感情を持ち始め、2人乗りのおおだこロボットに2人で乗り込み、2匹の鮫ロボット、チチとミドリが乗ったものと乙姫や海の王子に騙されて戦うシーンは実際に優喜たちが戦ったのより劇的で面白く脚色されている。さらに{海}について竜宮城に着いた時の歓迎は、今はやりの若い歌手が男女とも総出演である。 ”これは相当金がかかっているな。“ と思ったら、ますますプレッシャーがかかる。 最終的には鮫が勝ち、それにもまして2人の恋愛感情が耐え切れなくなり2人のキスシーンで終わる。 “僕は衆人環視の中、紀子とキスなどできるだろうか?” 台本を読み終わったら不安は増すばかりである。
台本を読み終わったころ、ウサギが声をかけた。 “メイク終わりました。” 出てきた鏡に全身を映して見るが、まったく自分とは分からないかっこいい男が居た。
傍にいた安田が、 “それではゲームのシーンから撮影を始めますので、戸田さんこちらに来てください。” 安田の後を付いていくと、広いホールの部屋に到着した。そこはカメハメ波ゲームセンターの前だった。いやゲームセンターがそっくりありその前の広場まで作ったセットであった。セットというよりはゲームセンターそのものであった。 優喜は改めて映画産業のすごさを思い知った。カメラが10台近くあり、真中の高い空中の位置に亀鳥監督が居た。優喜はすぐに小さなイヤホーンを渡された。それはぴったりと優喜の耳に収まった。そこから亀鳥の声が聞こえる。 ”戸田さん。今から君のことは悟空と呼ぶからそのつもりで、じゃあ始めるよ。まず、ゲームセンターの前でチチと会うシーンから。いいね。セリフは台本どうりでなくてもいいから思うようにやってごらん。じゃあ悟空エアーカーを下りてくるシーンからね。“ 優喜はエアーカーを下りてチチを見つけ走り寄って、 “お待たせ。じゃあゲーム始めようか?” “ちょっと待って、私、後二人ゲームを一緒にする人を紹介するから。” “ええっつ。僕ら二人にかなうものはめったにいないと思うけど。” “それがね。私の高校時代の友達でずっとミャンマーで美術の勉強をしていたミドリとその妹がとてもうまいのよ。ちょっと紹介するね。” “ミドリ。ジュンコ。この人が。悟空よ。” “よろしく。あなたとやれば{海}に行けるかもしれないとチチが言うから、ぜひやらせてください。” ミドリが言った後、 金髪で瞳がピンクの女の子が、 “えー。こんなおじん。私、女の人だとばかり思っていた。こんなのと一緒にやるのやだー。おまけに金髪だしいー” “君だって金髪じゃないか?僕だってこんなション便臭いガキ。嫌ですよ。” “何よ。私はこれでもちゃんとしたレディーよ。ボーイフレンド17歳から30歳までいっぱいいるのよ。” “それがガキだと言うんだ。じゃあ僕はもう帰るからね。” チチが、 “悟空。待って!この女の子天才的にゲームうまいのよ。私たちにはない直感が優れているの。きっと、{海}に行けるわ。” 悟空も{海}という言葉に弱かった。 ミドリも、 “ジュンコ。この人はねメカにものすごく強くってある会社のワープエンジンの開発をしてるのよ。この人はきっと私たちを{海}に連れて行ってくれるわ。{海}に行くとあなたの好きな海の王子に会えるわよ。いや海の王子達かな?あの帝グループの5人組の映像だって言う話だよ。もしかして時間があれば本物が出演してくれるかもっていう話もあるのよ。” ジュンコは帝グループという5人組の歌って踊るグループに弱かった。 悟空の足が止まる。ジュンコもじっと悟空の顔を見上げる。 監督の声がかかる。 ”はいカット!いいよ。いいよ。息がぴったり合っている。なんだか本当に喧嘩しているようだよ。何回か撮り直しをするつもりだったが、これはこのままでいい。ではチチ続けてくれ。はい!スタート。“ “じゃあいいわね。一応4万点分チケットを買うからね。” 携帯電話のボタンを押すと4人分のチケットと4万点のカードが携帯電話の下から出てくる。チケットを4枚、皆に配り4人はゲーム機の中に入って行った。
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