記憶科学研究所に着くと山田副社長が飛んできた。そしてひそひそ声で優喜に話しかける。 “社長!三島副社長、紀子さんですが、昨日まではおとなしかったのですが、今日になってからいろんなことに口出しするので困ってしまいます。” ”どういうことですか?“ “今朝になって、”“私も副社長だからもっと仕事の内容を教えて。”“と言われたので、脳監査でA以上じゃないと教えられないと言うと、”“脳監査を受ける。”“と言われたので受けてもらったら何とC段階なんですよ。それで“あなたは利己的な要素が多いのである以上の秘密は教えられない。”と言ったのですが、“”それは私を副社長にした山口さんのミスだから山口さんと社長に聞いてよ。“”と言い、そのほかにも態度が悪いと言って一人の女性を辞めさせるし、道原君に仕事中ちょっかいをかけるし、ほとんどの今日のトラブルはみんな三島君がおこしたものです。まあそこまではいいんですが、ビルの建設は3洋工建設に依頼しているのですが、どこから出てきたのか三原山建設に頼むと言ってきかないんですよ。3洋工建設は政府関係のしっかりした建築会社なんですが、三原山建設は手抜き工事の恐れのあるあやしい建築会社なんですよ。どうやら三島君の男関係の一人が三原山建設にいるようなんですよ。“ “うーん。それは困ったことですね。” 優喜も困ってしまった。昨日のことが反省された。すぐに山口所長に電話した。 “山口さん。どうも三島さんが会社に迷惑かけているようですが、どうしましょう。” “ああ。僕は三島君が、君のフィアンセだと言う嘘を信じて副社長にしたんだが、脳監査でもC段階だと言うので、君さえ良かったらもうやめてもらって結構だよ。” “はあ。しかし。” “とにかくそちらのことは君と山田君にまかせているから君の好きにしていいよ。僕はやめてもらうのが1番いいと思うがね。彼女の母親も脳監査ではB段階だそうだし、A以外の人はやめてもらっていいんじゃないか?WPCから大変な仕事を依頼されているからちょうどよいじゃないか?もしかしたらそちらの会社が時間局より大きな組織になるかもしれないよ。” 優喜は本当に困ってしまった。 山田副社長が、 “今のが緊急のお話ですが、本日亀島監督と言う方が昼から訪ねてきてずっと社長を待たれているんですけども。” ”亀島監督?“ ちょっと考えて、 ”桜川監督の助監督だった人だが、そうか、海へ行くまでを桜川監督が、海での戦いを亀島助監督が受け持つとか言ってたな。“ と思いだして自動扉が開くと携帯コンピューターで仕事をしながら待っていた亀島が見えた。 ”こんにちは!亀島です。東京ではお世話になりました。歌の方は合成音の3人で歌って発売が決まりました。桜川監督の“”海へ“”もほぼ完成してます。わが社から送った出演料を確認してもらいましたか?“ “すみません忙しすぎて確認はまだなんですが、最近収入が多すぎて、銀行からいろんな収入が入ってきているのでどれが出演料でどれが歌の収入か分からないままコンピューターの報告を聞いていました。” 実際優喜はいろんな収入がありすぎて優喜の銀行には数億の金額が振り込まれてあった。 “そんな収入のある方に恐縮なんですが、3億出しますので、私の映画に出てもらえませんか?実際の海の戦いに加えてもっと面白い演出を加えたいのです。桜川監督は”“今度の “海へ”は{宇宙征服の3人}に比べて数倍の売り上げがあるだろう。“”と言っています。私は[海での戦い]をそれを超える映画にしたいのです。そのためには実物に出演して欲しいのです。西条かおるさんは出演を承諾して下さいました。戸田さんにもぜひ出演をお願いしたいのです。“ ふとここで優喜は考えた。 ”もしよかったら女性2人を加えてもらっていいですか?一人は16歳の女性で、俳優として、もう一人は30代後半ですが、その方はマネージャーとしてでもいいですが芸能関係の新しい会社でも作ってもらって、16歳の女性1人と私が所属するようにしてもらえるなら、それでよかったら出演します。3億円はその会社のために使ってもらって結構です。その女性、三島紀子と言いますがその子を使ってもらえることが私が出演する唯一の条件です“ 優喜は西沢しのぶと会って芸能界にはこんなにきれいな人が居たのかと目を疑った。実際テレビや映画を見るのより何倍もきれいなのだ。こんなに売れているシリーズなので乙姫役などにはとてもきれいな人が選ばれるに違いない。今、自分の1番大事な仕事は三島紀子を納得できる状態で記憶科学研究所からやめてもらうことである。それには母親を連れて芸能界に連れだすのが1番いい。ただでさえ紀子は、優喜が芸能界に出るのを望んでいたので、自分が無条件に映画女優になるのならきっと飛びつくはずだ。 亀島監督は大喜びであった。 “ダメ元で、来たんですよ。それはとてもうれしいことです。会社を作るのもいいが、いくつかのプロダクションを私が知っていますからそこに入るのもどちらでもいいですよ。会社を作るとなるといろんな手続きが面倒なので、5人くらい俳優が居るプロダクションなら、すぐに入れますが?” “ええ。それでもいいです。私はこの映画が終わったらそのプロダクションはやめて、2人だけ残してもいいですか?” “解りました。この映画に出ていただけるだけで充分です。” 優喜は2人を紹介するからと、もう少し亀島に待ってもらった。 優喜は三島紀子とその母である陽子を呼び出した。 2人をテーブルの前に座らせて、 “紀子君。君は僕が映画に出たらいいと言っていたね?” “うん。そうなるとカメハメ波ゲームのシリーズは人気があるからきっと売れるわよ。” “実は明日から映画に出るため東京に行くことになった。そして紀子君もその映画に出演してもらう。お母さんはそのマネージャーになってもらっていいですか?給料はここより多く出しますから。” 二人ともまったく文句はなかった。 ”それには記憶科学研究所はやめてもらわなくてはなりません。“ “いいわよ。こんな堅苦しい仕事大嫌いなのよ。文句ばっかし言われるし。脳監査でC段階の人には何も教えてくれないし。女優になるなら大喜びよ。是非そうしてよ。” “じゃあ。映画の監督さんを紹介するから別室にきてね。” “えっ。監督さんが来てるの?” 2人は緊張して別室に入って行った。 ”こんにちは。今、カメハメ波ゲームの[海での戦い]を撮っている亀鳥です。貴方が紀子さんですね?うーん。ちょっとお話をさせてくださいね。“ “すいません。僕はちょっと場をはずしてもいいですか?後で戻ってきますけど。” “あっつ。どうぞ。お忙しい中をすみませんでした。後で戻って下さるんですね?” “はい。” と言って、優喜は山田のところに飛んで行った。 “三島親子は辞めてもらうことになりました。そして映画関係の仕事についてもらいます。しかし私は2週間くらい映画に出演しなければなりません。東京への行き来、が頻繁になりますがよろしいですか?” “ありがとうございます。そうなると問題は一挙に解決します。” 山田はほっと胸をなでおろした。
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