28世紀に戻ってまず何時電磁波発生装置を購入したかを探索する。 “コンピューター、日本国九州371−56−23加藤啓太の電磁波購入記録を全部出せ。” タイムパトロールの個人のコンピューターもレベル3の秘密事項が答えられる。 “私の家のコンピューターもレベルを上げられませんか?” 優喜が聞くと、 “時間局に申し出ればレベル2まで上げられるし、TMの関係している人物ならレベル5まで出すことができるようになるよ。もし家庭でも仕事をしたければの話ですが。” ”僕は思いついたらすぐ解決したいタイプなのですぐ申し込みます。“ ”明日にも申し込もう。“ と思った。優喜は自分のコンピューターをかなり改造しているので、コンピューターの書き換えについても詳しい。コンピューターが答える。 “電磁波購入記録はありません。” ”やっぱり隠しているんだな。“ 相沢が言った。優喜が、 “このコンピューターは、僕が聞いてもダメでしょう?” “うん、私の声で登録してあるからね。” ”では周囲100メーター以内で、電磁波購入した人を聞いてみてください。“ ”さっきの加藤啓太の周囲100メーター以内でで電磁波を購入した記録を述べよ。“ ”2人います。“ ”2人の職業と年齢、氏名を述べよ。“ ”ガードマン、39歳、峰岸信彦。中学生、15歳、高田信二。“ ”これだ。“ 優喜がいった。 “よく中学生が購入できたもんだなあ。” と相沢が言うと、 “多分このコンピューターは本名で出てくる正確なものですが、本人は年齢職業はごまかしていますよ。業者からの購入記録を見ると違った記録になっていますよ。” 優喜もこの前の仕事は認知症の薬をインターネット販売していたのだが、その薬を飲むといわゆる“らりった”状態になるので、中学生、高校生が偽名、偽職、偽年齢で申し込んできたが、最初はそれを見抜いて断っていたが、社長の命令でそれを見抜く必要はないといわれ、そのまま売っていた。そのことも前の仕事を辞めた原因の一つではある。しかし政府のコンピューターは正確な年齢が出るので、摘発可能である。しかしこのようなものまでいちいち摘発していると警察関係は忙しすぎるのでほとんどは泳がしているのである。 購入記録を見ると昨日だった。 ”昨日の夜があやしいですね。“ 優喜が言うと、 “うん、私もそう思う。” “では位相を変えて行ってみましょう。” ”戸田さん。実際にどうなるかわからない現代にとってタイムトラベルすることは厳重な秘密厳守を守らなければならないので、その覚悟はいいですか?“ ”と言うと?“ “現代のある時間にタイムトラベルした場合、知り得たいかなるものも利用してはいけないということです。” 優喜は少し考えて、 ”では行くのはやめましょう。別に小さくしたものを大きくしたことを知ってもそのことを使ってはいけないなら、行かなくても同じですから。つまり行って、啓太君が何らかの方法で小さくしたものを大きくしたとします。そのやり方を我々が見て知りますね。その後で我々がその知ったことを一切利用してはいけないのなら、知らなかったことと同じではないですか?もっと極端に言うと、我々が行ってその後その記憶を僕が消したと考えると行かないほうがましだと思うのです。“ ”なるほど。啓太君の武器流出も防げたので止めましょう。私は戸田さんが優秀な探偵の能力がであると知っただけでも大したもんです。困った時は戸田さんに聞くことにしようと思いましたよ。“ “何か精神異常者の脳監査をやったり脳監査を受けることからいろんなことが見え始めたのです。記憶の消し方も実は私は大学の人間科学部で認知症の卒業研究をしてたんですが、記憶のマッピングという題材で、ある種の記憶と脳の細胞の中の局在との関係があることを証明したのですが、このTMになる為の脳監査を受けた後、脳監査後昨日の夕食を食べた記憶が完全に消えていたのです。このようなことは、初めてなので、原因を調べたのです。そうすると短波長の脳の活動電位を映像化する波が夕食の記憶を消し去ることができることが分かったのです。記憶のマッピングは私の研究材料だったので、そのマッピングにコンピューターを使って記憶の質を呼び出すと大体思ったとうりの記憶を消すことができるようになったのです。まあ夕食の献立なんて1週間もすると忘れてしまうし、啓太君の武器を学習した脳も反復しなければ1年もたてば忘れてしまうものなんですが、反復することで記憶は増幅されるんですよ。家に帰って小型コンピューターを持ってきますそれには記憶の局在のマッピングがプログラムされていますから、啓太君の脳にすぐアクセスできると思います。” ”では、私はタイムパトロール本部に連絡して、1の位相で動けるよう位相変動の許可をもらっておきます。その格好で行くと変に思われますから着替えて行ってくださいね。“ 優喜が急いで出かけようとするのを制し、優喜が着替えてエアーカーで出かけて帰ってくるまでにタイムパトロール本部に連絡した。タイムパトロールも人の記憶を消せる方法があることを知って驚いたようだった。そして今週の土曜日に時間局に要請して戸田優喜をタイムパトロールの講義に特別講師で招待する願いを出しておくから本人にも了解を取っておいてくれとの伝言を頼んでいた。それを伝言すると優喜もかしこまって、 “天下のタイムパトロールの人達に講師として招待されるなんて光栄です。是非ともいかせてください。” と答えた。 そして勇気が持ってきた小型コンピューターをタイムマシンに耐久できるように加工したのち、例の頭からかぶるつなぎに着替えてさっきの位置、さっきの時代の夜12時に着いた。2人はそこにはいなかったので、タイムパトロールの相沢は携帯電話のような機械を取りだした。 “それは何ですか?” ”いろんな計測機械ですが、ここでは匂いと、体温や人間の持つ微妙な蛋白の分解物などを探索してどこに行ったか調べるものです。ここは1.111の世界ですから木や物質に当たることはありませんのでどんどんまっすぐに追いかけていきましょう。” 30分ほど歩いて行くと草や木でおおわれた建物があり2人ともぐっすり眠っていた。 ”念のため睡眠ガスを位相1で流します。ガスもこっちにはきませんから大丈夫です。“ しばらくして、 “ガスも消えたので我々も位相1に変えます。記憶を消す用意はいいですか?” ”マッピングに5分、短波長の波を5分当てます。10分必要ですが、その間大丈夫ですか?起きないですか?“ ”1時間は起きないと思います。ゆっくり作業をしてください。何か来ても私が対処しますから落ち着いてやってください。1時間はこの2人を守ってやらないとね、オオカミや神武軍からも。私が眠らせたんだから。“ 10分後作業が終わり、 ”終わりました。これで啓太君からは学習した28世紀の武器の記憶は完全に消えました。“ “すいませんが、このジアイの脳から啓太君から聞いた啓太君の脳の中に武器の記憶があるという言葉を除去できないですか?難しいとは思いますが。” “うーん。聞いた言葉の除去ですね。言葉のマッピングはどこにあるんだろう。そうだ。 昨日の記憶。まだ記銘と思われる部位を、電気的に消去してしまうと、昨日の記銘が抜けてしまうかもしれません。まだ本日の昼の記憶は蛋白として貯留されていなくて、電気刺激として残っているので、マッピングによって分かった啓太君の脳の中の武器の言葉の部位を、つまり両側頭葉から電気刺激を与えて脳の中の電位を変えることによって本日の武器に関する記銘が消されてしまうかもしれません。簡単ですからちょっとやってみます。ただ、明日の朝またここに来て、うまく武器に関する短期記憶がなくなっているか確かめた方がいいでしょう。“ “解った。一回戻ってまた明日の朝に合わせてきてみよう。” そう言って1時間後睡眠作用のある薬が消えた頃、2人はタイムマシンで元の世界に戻り、再び紀元前5世紀の翌朝6時に戻ってきた。 “過去から過去へは移れないんですか?” ”設定の問題でいちいち28世紀に戻らなくてはいけないんだ。最初から設定してればいちいち戻る必要はないんだが。つまり、過去に行き10分いて、次に別の時代に20分いてその後帰る。というような設定をあらかじめやっているなら直接過去から過去に飛べるんだ。“ ”なるほど。で、今度は位相はいくつなんですか?“ “1.1です。この時期は初めてなのでこれでいいと思います。” 2人とも早起きで、黙って水を汲んで顔を洗ったり、歯を磨いたりしている。 朝の準備が終わったのち、啓太が、 ”何だか頭が重い感じがする。家で28世紀の武器の作り方を覚えていたはずなんだが、まったく覚えてない。おれはこんなに頭悪かったかなあ?“ “武器ってなんだい?いろんな武器を持ってくるはずだったんだろう。” ”昨日言ったようにそれは全部失敗したんだ。覚えてないのかい。警察から全部抑えられてしまったんだ。苦労して共鳴する波長を絡ませて震動がとれたら大きくなる電磁波発生装置でさえどこからともなく声が聞こえてきてその後なくなってしまったんだ。“ ”覚えてないなあ。昨日お前が帰ってきたのは覚えているが、お前が言ったことや、武器を持ってこれなかったことは完全に忘れている。あまり昨日は酒を飲まなかったのになあ。“ “酒の中に何か入っていたんじゃないか?” ジメイの記銘も、啓太君の武器作成の知識も消えたようだったので、2人は28世紀に戻った。 “啓太君は振動がある限り小ささを保って、震動がなくなると大きくなるようにしたんですね。鼓膜は大なり小なりいつも振動してますからね。” ”すごい能力を持った子ですね。具体的にはどうやったかは全然わからないいですね。“ “さあ、また飲みなおしましょうか?” “いや今日はもう帰って寝ます。相沢さんは慣れているかもしれませんが、タイムトラベルを何回か繰り返すとどっと疲れますね。” ”戸田さんは初めてのタイムマシン経験だったのですね。それは失礼しました。ゆっくり眠って下さい。眠るのが1番の回復の方法です。“ 優喜はエアーカーで自分の家に帰り、泥のように眠った。
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