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作品名:タイムマシン稼働マネージャー 作者:Hei George

第16回   優喜の一日の仕事
さわやかな朝だった。天気は晴れ。ただし28世紀の都市は大きなドームでおおわれていて、雨、風、嵐の影響は受けない。一部を除いて日本国内全体がドームに覆われている。空気清浄化システムが働いているので余分な2酸化炭素も出てないし、エアーカーはほとんどが反重力装置なので、二酸化炭素は出さない。優喜はいつものようにサンドイッチとコーヒーを頼み、今日は健康のために野菜サラダと果物を物質転換装置に頼んだ。今日の午後はタイムパトロールの相沢との約束がある。7人の脳監査も終わったとこだし、今日はタイムマシンで過去に送られて帰ってきた人の歴史を調べてみようと思った。朝食をとって、エアーカーで時間局に到着した。部屋に入ると係長をはじめ10人くらいが集まっている。
“やあ戸田さん。実は、この連中が君を見たいといって頼んできたんでな。ちょっとだけ相手をしてやってくれんか?”
“山田の同期の簑島です。すごいですね230万点ですか?やっぱり引き締まった顔をしていますねえ。”
などと一人一人紹介されて挨拶をしていると、9時過ぎてしまった。山田係長が、
”ほらもう時間だから、自分たちの部署に帰ってくれ、戸田さんも仕事があるんだから。“
と言った。そして10枚の名刺を残して皆が帰った後、
“すまんが息子にサインと、一筆書いてくれんか?昨日のニュースを見て同じ時間局の人間だとわかったら、是非ともサインが欲しいといってきかないんだよ。息子の名前は春樹と言うんだ。春樹君へとでも書いてくれたら大喜びするんだけど。”
と言ったので、係長の持ってきた色紙に、230万点獲得した戸田優喜と書き、Y.Toda:
春樹君へ、高得点目指して頑張れ!!と書いてあげた。山田係長は嬉しそうに自分の部署に帰って行った。優喜は自分の部屋で、
“コンピューター過去にさかのぼって全部の精神病者で、タイムマシンで送られて帰ってきた人のデーターを出してくれ。”
と頼むと、物質転換装置から書類が出てきた。
“この書類は10分後自動的に消滅します。マル秘文書なので、メモしたりしないでください。”
大事なところだけ記憶しようと思った。どうやら32年前に一人実験的に過去に送られその一人は帰ってきていた。31年前は誰も送られず、30年前に10人送られて29年前に。2人帰ってきている。29年前は15人送られ、28年前に3人帰ってきている。
その後ずっと30から50人程度送られて、9人から20人が帰ってきている。最近10年では年6回300人程度送られ約90人ほど帰ってきている。今までの累計は1684人であった。過去に送られた精神異常者は5615人となっていた。そうすると3931人が過去に残ったことになる。過去にさかのぼっての検索は大変なので、やはり自分としては去年送られて今年戻ってきた人からに集中して世話をしていきたいと考えた。
まず、加藤啓太について考えた。啓太は両親の愛が自分以上に弟に行くのが不満でうつ状態になり、過去の世界でジアイと言う兄貴分を得て、再び過去に戻って戦いたいと思っている。そうすると、彼は何のために戻ってきたのだろうか、父や母に会うためと言っていたが、実は武器の調達に帰ってきたのではないだろうか?ふとそう思い相沢に電話した。
“コンピューター電話を!”
と言うとテレビの画面が出る。ほとんどはテレビ電話だが、実像を出したくない人出せない人は、画面だけは、あらかじめとったビデオが対応する。
“タイムパトロールの相沢さん。住所は九州2−64−82.”
今日は休みだと言っていたから家にいるだろうと思っていると案の定、家にいた。家にいない場合は自動的に携帯につながる。もちろんタイムマシンを使っていて時代が違うとかからない。今の姿で出てきて、
“やあ戸田さんどうしたんです。”
“啓太君のことですが、彼は武器を取りに戻ってきているのではないですか?”
“よく気ずきましたね。詳しくはうちに来てから話しますが、警察もタイムパトロールも十分認識しています。ご心配なく。このようなことも電話ではまずいので家に来てからしてください。”
突然ひらめいたので慌てて電話したが、
“さすがタイムパトロールだ。充分に気をつけているんだな。”
と思って、
“それでは5時過ぎに伺いますから。”
と言うと、
“楽しみにしていますよ。”
と返事が来て電話を切った。電話が切れるとテレビの機械も消える。無駄なものは消えて必要な時に出てくる仕組みになっているのだ。
“自分の関係すること以外であまり考えを広げないようにしよう。”
と思った。
次に、毛利純子のことを考えてみた。ほとんど真っ暗闇に感じた脳監査は、一体なんだったのだろうか?脳の中の記憶や認知能力が全く働いていない状態なのだろうか?病人に接していて病気が治ったということは、何を意味しているのだろうか?過去に戻るとうつ病が改善するのはストレスが無いせいだろうか?
“コンピューター毛利純子の現在の暮らしを述べよ。”
と言うと、
“母の看護をしながら中学校にまじめに通っています。病気の再発もないようです。”
と言ってきた。
そこで、安心して、下北 正について考えた。正は脳の命令どうり殺人をしていたが、それを乗り越える力を身につけた。脳の精神力は脳の病気を打ち勝つことができるのか?
“コンピューター下北 正の現在の生活を教えてくれ?”
”現在、司法局でバイトをしながら、刑務官試験に向けて勉強しています。“
下北 正の意志の強さに感心して、部屋にいると、空腹感を感じた。時刻を見ると12時40分であった。
“今日の昼はどこで食べようか?”
と思ったらウサギが出てきたので、
“今日はここで食事をとる。テーブルとイスを出して、ピラフにサラダそれとコーヒーを食後に頼む。”
と言うと、コーヒーを除いてすぐに目の前に出てきた。食後すぐコーヒーが出てきた。食べ後の容器はすぐ消える。コーヒーを飲んで、
“かたずけてくれ。”
と言うと、テーブルとイスとコーヒーのカップすべて消えた。元の事務机に座り、西沢慶三郎のことを考えた。うつ病だからあのような小説が書けたのか?うつ病はいつごろ発症したのか?うつ病とは何なのか?人間の本質に迫るものなのか?では人間の本質とは何か?次から次へ押し寄せる疑問の中で、優喜はただ一つだけ今までの仕事では考えなかった人間の精神について考えるようになっていた。人間の精神とは記憶の積み重ねからなっている。記憶が壊れてしまう、つまり認知症になる人間は神経細胞の移植技術で回復するようになっている。自分の末しょう神経を培養し、遺伝子注入して、大脳に移植するのだ。そうすることによって壊れかけた記憶細胞が蘇り認知症いわゆるアルツハイマー病は治癒するようになった。しかしうつ病は神経伝達物質の障害と分かっていてもある程度のコントロールはできるが過去に行く以外に治癒する方法はない。
”西沢慶三郎氏の今の状況を教えてくれ。“
とコンピューターに尋ねると、
“西沢慶三郎は妻とともに長野県で農地を買収して牛や豚を飼い、農業をしています。同時期に帰ってきた矢作亨、田中喜代子も
“”この時代の物質転換機で作った食物は味気無くってとても食べられない。”“
と言って、西沢氏の誘いに乗って共同で暮らしている。又、彼ら以前のタイムマシンで帰ってきた人9人もその農地で農業をしたり学校へ行ったりして暮らしている。もっとも矢作亨は、吉川お笑い養成タレント学校に入学できたら、味気ない食事も我慢して出ていく予定である。“
一気に3人の動向がわかり、残すは三島紀子のみとなった。しかし時間はもう5時を過ぎていた。三島紀子のことはまた明日考えることにして、すぐに相沢の家にエアーカーで出かけた。


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