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作品名:混沌こそ我が墓碑銘 作者:鈴木善行

第4回   4
 テレビをつけていると、部屋のなかが無意味に騒々しい音や映像に支配される。それらは無機質で軽薄で、真剣に見たら内実のバカバカしさに気づいてしまうから、ほんとうにただつけているだけの状態がジャストなんだと思う。報道にしても事実を歪曲したり、捏造するのが常なんだろうし、テレビタレントなんて製作者があらかじめ用意した台本通りに事を進め、台本通りに発言し、ちょっとこちらが気を許せば、いい話をしはじめ下手すりゃ泣きだしたりするし。いくら仕事だからっていい年した大人がみっともないから涙なんか流すなよ、汚ぇよ、うぜぇよ、乳でけぇよって、でもそういう適当な嘘っぽさにどこか救われた気分になるときがあるのも事実だ。それらを真剣に見ちゃうと、やっぱりバカバカしい気持ちでいっぱいになってしまうけれど。テレビに感情なんて最初から求めていないから。

 感情だとか、そういうの、いいかげん辛気臭いんだよ。どこぞの巨大掲示板で発言権なんかあるわけないのにあると錯覚して好き勝手に書き込みして、それで自分はちゃんと世間と接点をもっているんだと好き勝手に妄想して、ぬるい関係性の居心地のよさが救いで、となると、いよいよ直接的な人との関わり合いなど面倒なだけだ。他人がどうしようが誰も関心はないんだ。そのくせ関心があるふりをするのは得意で。って、そんなふうに思いたいだけなんじゃないだろうか。関心がないと決めつけ、自分が誰からも相手にされないことのエクスキューズにしたいのかもしれない。

 いつだって、ひとりでいたい。ひとりは落ち着く。でも、ほんとうは怖いんだ。ひとりでいたいのに、ひとりになってしまうのが怖い。わたしにとって人形やテレビは、自分が孤独じゃないことを確認するために必要なんだろう。ただ、そこに魂はいらない。心はほしくない。そういうのは、面倒だって知っているから。

 いつからこんなややこしい性格になってしまったんだろう。なんだかくだらないよ。ここは、この場所は自分にとって果たして穏やかな空間なのか。紫一色に統一された部屋の壁をバックにほの光る悪趣味なほど真っ赤なデスクライトの灯りを眺めながら、感傷的にあれこれ考える時間が増えてきたなと実感すれば、馬鹿で晴れない青い夜を憂い、酒がすすむ。


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