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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第7回   光の速度は本当に秒速30万キロか
ニュートリノが光より速く飛んだという実験結果は誤りであったと発表された。SFファンとしてはとても残念な結果に終わった。やはり光はこの世の最高速度で進むのであろうか。実は、これには極めて重要な条件が付いている。「真空中」という条件である。真空以外では、光の速度は秒速30万キロより遅くなる。身近な例はたくさんある。虫メガネで光を集めると焦点を結ぶ。水の中に光が入ると、屈折して水底が浅く見えたりもする。光がレンズや水の中を進むときにその速度が遅くなっている証拠である。こうした水やレンズのように、光の速度を遅くするモノを媒質という。実際、光の速度を自動車の速度くらいにまで遅くする媒質も開発されているというから驚きである。
さて、そうすると困ったことが起きる。宇宙観測である。宇宙観測は基本的にはすべて光によって行なわれている。可視光だけでなく、赤外線や紫外線、電波などいろいろな光が観測に使われている。1光年と言えば、通常は光が1年かかって進む距離と定義されるが、これは宇宙空間が完全無欠な真空ということが前提となる。
しかし、実際には宇宙空間には星やガス、ちりなどが満ち溢れている。それどころか最近では目に見えないダークマターがいっぱい宇宙空間の中にあるのではないかとも言われている。要するに宇宙空間は、全くの真空ではなく、水やレンズのような媒質に溢れている可能性があるのである。
その証拠の一つが、重力レンズ効果という現象で観測されている。遠方の銀河を観測する時、その手前に大きな重力をもつ何かが存在すると、ちょうど虫メガネで光が曲げられたように、銀河から来る光が曲げられてゆがんで見えることがある。そんな重力レンズが宇宙のあちらこちらにあるというから、極端な話、真っすぐ飛んできたはずの遠方銀河の光も、実際はヘビのようにグニャグニャと曲がりながら地球までたどりついたかもしれない。
あるいは、宇宙空間が未知の媒質によって満たされていれば、そもそも宇宙空間を飛んでくる光の速度が秒速30万キロでない可能性もある。ひょっとすると最近発見されたヒッグス粒子を空間から完全に取り除くことができれば、光は秒速30万キロより速く進むかもしれない。


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