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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第6回   人の名前がコロコロ変わる
人の名前が簡単に変えられることをご存じだろうか。結婚とか、離婚とかで姓が変わるのは当然として、何もしないのに名前が簡単に変わってしまうのである。
筆者は以前某サービス業界に勤めていたので、個人情報の取扱いについては極めてうるさく言われていた。本人確認である。何か新しく取引をしようとすると必ず本人確認書類の提示を求められる。運転免許証を取る際はもちろん、預金口座を作るにも、クレジットカードを作るにも、会社に就職するにも、何をするにも本人であることの証明が求められる。
そんな中、某顧客が半年ほどの間に同じ銀行の違う支店で、しかも異なる名義で次々と口座を開設しているというケースに遭遇した。不審に思って本人に問い正したところ、名前を変えて口座を作ったのだという。
こっちは、名前が変わるなど微塵も思っていないので、市役所の市民課に問い合わせたところ、担当者いわく、名前は変えられるというのである。しかもわずか半年の間に2度も3度も、である。頭にきたので、そんな簡単に名前を変えられたらいくら本人確認をしたって意味がないと問い詰めたところ、書類がそろっていれば名前の変更は受けざるを得ないと冷たい返事があった。
戸籍法第107条によれば、姓の方を変えるには「やむをえない事情」、名前の方を変えるには「正当な事情」があれば、家庭裁判所の許可を得て変えることができるとされている。確かに、法律上も名前は変えられるのである。
姓の方の「やむをえない事情」というのはかなりハードルが高いらしいが、名前の方の「正当な事情」というのはかなり甘いようだ。例えば、大きな病気をしたり、事業で失敗したりしたので姓名判断で見てもらったら名前が悪いと言われたという程度の説明でも通ってしまうらしい。そんな作り話ならいくらでも出来る。家庭裁判所は、一体どんな審査をしているのであろうか。
わずか半年ほどの間にコロコロ名前を変えて銀行口座をいくつも作るなど、今はやりの振り込め詐欺にでも使うとしか考えられない。いつまでたっても騙される人がなくならないはずである。困ったものである。


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