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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第5回   救命ボートに乗る順番
タイタニック号が沈んで100年になる。老若男女1000人の乗客に対して、救命ボートの定員が500人分しかない場合、さてボートに乗る順番はどうなるであろうか。人の命は平等だとよく言われるが、こういう特殊な状況下においてはこれが当てはまらなくなる。500人しか定員のないボートに1000人も乗せれば、ボートは沈んで間違いなく全員が助からない。残酷なようだが、命の選別をすることが、この場合は必要となる。そして、それには間違いなくルールがあるのである。
早い者勝ち、否。力の強い者勝ち、否。お金持ち勝ち、否。パニック映画とかで、よく「女、子供が先だ」と叫ぶ声を聞くが、これは別に女、子供が弱者だからということではない。これには深い意味がある。ヒントは「多産」。
仮にタイタニック号がノアの箱舟だとして、人類最後の人々が乗っていたとしたら、全員が死ぬわけにはゆかない。生き残った人々で何とかして人類再生を試みなければならなくなる。賢い読者ならばもう答えがお分かりと思うが、優先順位は「若→女→男→老」となる。
病気とか特別な条件を考えなければ、平均余命は間違いなく子供が一番長い。よって多産を実現する可能性が最も高いのは子供(若者)である。次に優先されるべきは女性である。倫理のことを考えなければ、男は一人いればいくらでも子孫を残せる。一方、女一人では、一回で一人かよくて二人の子供しか産めない。それも10ヵ月もの長い時間がかかる。よって多産を考えるならば、女性が多い方がよい。
申し訳ない結論だが、「老」は最後になる。子孫を残す可能性が少ない老人はボートに乗ることをご遠慮頂かなくてはならない。敬老の日なんていう祝日は、世の中が平和で全員が満ち足りている場合にのみ祝われる。船が沈みかけた時には、「姥捨て」が正しい判断となる。パニック映画では、しばしば「わしらはどの道もう長くはない、お前たちだけで早く行け」と、老人が子供の背中を押すシーンがよく出てくる。これは、本当に涙を誘うが、実は正しい判断をしているのである。
さて、これが単に沈みかけた船の話ならば絵空事で済むが、われらが日本丸の話となると、ことはそう単純ではない。1億2千万人の乗客に1億人分のボートしかないとしたら、さてあなたはどういう判断をされるでしょうか。


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