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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第48回   財産が国に没収される
これは別に共産主義国の話ではなく、わが日本国でのお話である。あなたの財産が国に没収される可能性があるのである。
現在、政府の借金の総額は1000兆円規模に達した。これは、個人のネット金融資産(資産から負債を引いた純額)とほぼ同額になるという。
世の中では、かなり以前から国債の暴落説がささやかれているが一向にその兆しは見られない。その理由として、偉い経済学者さんたちは国債のほとんどが日本国内で引受けられているので、破綻はしないと説明する。しかし、この説は部門間(統計上では政府、個人、企業というような部門区分がある)の資産・負債の偏在について何も語ってくれていない。
分かりやすく言うと、ご主人(政府)が借金まみれでも、奥さん(個人)がたっぷりヘソクリを持っているので大丈夫と言っているだけのことである。でも、ご主人がいよいよ借金を返せないとなると、取立て屋さんは奥さんのところに押しかけてくることになる。
まず、消費税を上げるのが最も手っ取り早い。実際、消費税率はもうすぐ10%に引き上げられる。でも、これだけでは焼け石に水で、将来の社会保障費をまかなうためには消費税率は最低でも30%は必要と言われている。それでも毎年の収支をトントンにするのが精いっぱいなので、昔から積み上がってきた1000兆円の方を返す余裕まではない。
次に考えられるのは所得税や法人税であるが、これも無制限に引き上げるというわけにはゆかない。日々の生活資金や経営資金が奪われることになるし、何より日本の所得税率、法人税率はすでに世界的に見てもかなり高いレベルにある。上げ余地は少ないと見られる。
結局、行き着くところまで行くと、取れるところから取れという話になってくる。租税の原則の一つに「応能負担」という言葉がある。つまり払う能力のある人に負担していただくという意味である。ない袖は振れないということわざがあるように、おカネのない人からいくら取り立てようとしても無理なものは無理なのである。
もって回った言い方をしたが、結論は、一言で言うと「資産課税」である。相続税の最高税率が引き上げられることになったが、これはほんの序章に過ぎない。今後はますます資産に対する課税が強化されてゆくであろう。もうそこしか取れるところが残っていないからである。土地、株は言うに及ばず、銀行に預金をしているだけで税金が取られる時代が到来するかもしれない。
そんなバカな、と拒否してみたところで、強制執行という最後の手段が待ち受けている。国債のデフォルト(債務不履行)である。国債が償還されないと、国債を大量に保有している銀行も潰れる、そうなるとあなたの預金は払い戻しされなくなる。どう転んでも、あなたの財産は回り回って国に没収されるようにできている。要は、最後の審判の日に誰が最も損をするのかというだけの話である。
どうしても嫌だという人のために…、没収を免れる唯一の方法がある。海外への逃避である。海外に移した資産まではさすがに日本政府も手が出せない。既に、フランスや香港では資産の海外逃避が起きているという。日本でも金持ちはもう動き始めているかもしれない。


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