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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第37回   IQの高い人は頭がいいか
テレビのクイズ番組を見ると、よくIQの高いチーム対決とかやっている。世の中では、一般的に「IQの高い人=頭がいい」とされているが、本当にそうなのであろうか。
IQテストを受けたことのある人はお分かりと思うが、問題の多くがクイズのような内容ばかりである。例えば、暗号を解読させるような問題、あるいは図形を多面的に解析させるような問題…等々、一体こんなことをして何の意味があるのかと言いたくなるような不可解な問題ばかりである。こうした問題を素早く解ける人は、発想の転換ができたり、あるいは物事を別の角度から見たりする能力に長けた人であることが多い。
IQの高い人は、同じ仕事をさせても、間違いなくIQの低い人より速く仕事ができる。例えば「1から100までの数字を全部足す」とい作業をさせた場合、IQの低い人は1+2+3+…、というように1から順番に足し算してゆく。これに対し、IQの高い人は、1+99=100、2+98=100…だから、100が49個できるので、あとは真ん中の50と最後の100を足すだけ、よって100×49+150=5050と計算する。
そんなものはIQの高低にかかわらず、誰でもそうすると言われそうだが、これは単なる一つの例であって、何かにつけIQの高い人は低い人に比べて仕事の段取りがうまい。悪く言えば、「要領がいい」、もっと悪く言えば「ズル賢い」ということになる。
また、IQの高さがかなりの程度遺伝で決まるということは、既に実証されている。これは両親ともが東大卒の家の子は、また東大に入っている点からしても、納得のできる結論であろう。確かに、IQの高い人は受験勉強の仕方においてもIQの低い人より要領がいい。前編「第17回 全く勉強せずにテストで何点取れるか」でも述べた通り、頭のいい人は最小限の努力で要領よく点を取る。1から100までをクソ真面目に足し算してゆく人とは、端から勉強の仕方も考え方も違う。
IQテストを受けている時の被験者の脳内血流量を測定する実験でも、IQの高い人は脳内のいろいろな部位の血流量がアップすることが確かめられている。つまりIQの高い人は、脳のいろいろな部分を連携させて問題を解決しようとするのに対し、IQの低い人は脳の一部分しか使っていない。だから、参考書を1ページ目から1字1句読んでいくような通り一遍の勉強法しかできないのである。
では、IQの高い人は、すべて頭がいいと言ってよいのであろうか。そのためには、「頭がいい」とは、どういうことなのか定義をハッキリさせておく必要がある。今の世の中で、頭がいいといえば、勉強がよくできる、難関大学に行ける、といったことが尺度にされている。
ところが、人の能力にはいろいろあって、記憶力、理解力、洞察力…等々、多面的である。別に難関大学を卒業していなくても、例えば、円周率を何万ケタも覚えている人、5ケタ×5ケタの暗算をいとも簡単にやってしまう人、ルビックキューブのようなパズルゲームを素早くできる人…、いろいろな人がいる。かの発明王エジソンも学校の勉強はまったくダメだったという伝記が残っているぐらいだから、どうやら頭の良し悪しとIQは関係なさそうである。
「IQが高い⇒頭がいい」というのは、いわば作られた固定観念であって、「頭がいい」を測る尺度が変われば、IQは頭の良し悪しを測る道具として使えなくなる。もし東大に合格した人がIQの高い人ばかりだったとしたら、そうした人しか合格できないような入試問題を作っている方が問題なのかもしれない。
ちなみに、鳥の中でIQがもっとも高いとされるのはカラスだそうだ。例えば、カラスが道を走る自動車の前にクルミの実を置いて殻を割らせるのは有名な話である。自動車は人が発明した道具、いわば高度な文明の象徴である。カラスはそれをクルミを割らせる道具として使ったのである。鳥の中でこんな「ズル賢い」高等芸ができるのはカラスだけである。
だとすれば、「東大卒⇒頭がいい⇒IQが高い⇒ズル賢い⇒カラス」ということになる。東大卒の方々、大変失礼しました。


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