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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第35回   35
相変わらずオレオレ詐欺、振り込め詐欺が後を絶たないという。警察や銀行があれほど注意を促していても、手口が巧妙化してどうしてもだまされる人が出てしまう。だまされる方にいくら注意しろと声を掛けても、その多くは高齢者でもあり、すべてを阻止することはまず不可能と思われる。
こういう話を聞くと、いつも不思議に思うことがある。詐欺を仕掛ける連中をなぜ取り締まれないのかという点である。詐欺を仕掛けるには必ず通らなければならない2つのハードルがある。一つは連絡に使う携帯電話、もう一つは振込金を受け取る銀行口座である。
これらの小道具を用意するには本人確認書類が必要なはずだが、犯人はいともたやすくハードルをクリアしてしまう。その背景には、最近多くみられる電話機や銀行口座の売買がある。それもわずか数万円で取引されるというから困ったものである。銀行口座から犯人を割り出したところ、全くの別人だったなんてことも多々あるらしい。
出口の方で取り締まりができない以上、入口の方を強化するしかない。例えば、個人が電話機や銀行口座を持てる個数を制限する方法がある。
現在、多重債務に陥ることを防止するため、貸金業者やクレジットカード業者には、個人信用情報センターに個人の借入等の情報を登録することが義務付けられている。これらの業者は、個人から貸金やクレジットの申込があれば、債務過多にならないようセンターに照会してから与信を実行することになる。だから借り過ぎの人は申込をしても断られるということになる。
同様に、電話機や銀行口座の保有情報もセンターに登録することを義務付ければよい。信用情報の登録・照会ができるのであるから、電話機や銀行口座の保有情報ならもっと簡単にできるはずである。実際、大手の都市銀行では全国の支店で持てる口座の数を制限しているところもある。これを全銀協レベルまで広げれば済む話である。
個人情報保護の観点から問題だという声が聞こえてきそうだが、個人情報保護と犯罪防止とどっちが大事かと言えば、答えは決まっている。国民が安心して暮らせる社会を作るためには、多少の犠牲は仕方がない。
それと、いま一つ気になるのは詐欺罪に対する刑の軽さである。この手の犯罪者には重犯が多いという。刑務所を出たその日から、かつての詐欺仲間と新手の手口で同じような犯罪を繰り返す。前科5犯なんていう人もゴロゴロしている。詐欺罪は最長でも懲役7年、平均すると2〜3年というから、いくら警察が頑張っても、すぐに世の中に出てきて罪を繰り返す。
詐欺でも前科5犯くらいになれば、もう更生の見込みがないのだから無期懲役でもいいのではなかろうか。それは重すぎるという声が聞こえてきそうだが、仮に詐欺で全財産を奪われ自殺する人が出たとしたら、これは間接殺人ではないのか。同じように人のカネを盗んでも、強盗なら刑が重くて詐欺なら軽いというのもおかしな話である。盗まれる人の身にもなってほしいものである。


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