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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第2回   刑事ドラマはなぜ海辺で終わる
テレビでは相変わらず刑事ドラマや推理ドラマが人気だ。筆者も時々見る。別にケチを付けるつもりはないが…、やっぱりケチを付けたくなる。
まずイントロだが、主人公が出かけるところでは必ず殺人事件が起きる。温泉だろうが、寝台特急の中だろうが、オン・オフ関係なく容赦なく殺人事件は主人公に降りかかる。大体、人が一生の間に殺人事件の第一発見者になる確率はどれほどだろう。宝くじに当たる確率よりはるかに低いのは間違いない。
ちなみに筆者は、生まれてこの方、幸運にも殺人事件を発見するどころか、その現場検証にすら遭遇したことはない。それが、刑事ドラマの主人公は毎週のように殺人事件の現場近くに居合わせる。まあ、刑事ドラマであるから殺人事件が起こらないと話が始まらないので、百歩譲ってココはよしとしよう。
次に、アリバイ工作でよくある話。東京駅何時何分発ののぞみ○○号に乗れば、何時何分に名古屋に着き、そこで乗り換えれば…、というような時刻表を使ったアリバイ作りである。犯人は列車が遅れるという想定外の事態を考慮していないのだろうか。筆者が殺人犯なら、殺人という大それた事件を起こすのに、いつ遅れるかわからない列車の時刻表をアリバイ作りに使うなど怖くてできない。やはり殺人犯は大胆だなと感心してしまう。
さらに、密室トリックでよく使われる糸やひもを使ったトリック。一定の時間が来れば、糸が巻き戻されてカギが部屋の中へ…とか。これも、犯人は糸が切れるとか、何かに引っかかるというリスクを考えていないのであろうが。もし、糸が切れでもしたら、密室殺人どころか手品のタネ明かしになってしまう。やはり殺人という大それた事件を起こす者としては軽率であろう。それとも犯人は繰り返し予行演習でもしたのであろうか。
そして、話のエンドは不思議と海辺で終わる。すべてがそうではないかもしれないが、犯人逮捕の瞬間は圧倒的に海辺が多いような気がする。逃げ切れないと観念した犯人が自殺しようと断崖絶壁の上に立つ、あるいは犯人を追いつめた主人公が事件のなぞ解きを海岸でやる、という類の終わり方が多い。
ただ、刑事ドラマが海辺で終わるという点だけは科学的な根拠がある。人は、辛いこと悲しいことがあると不思議と海を見たいと思う。海を見ていると癒されると感じた経験をお持ちの読者も多いのではなかろうか。海は郷愁を誘うのである。
それは太古の大昔、まだ人が4つ足で歩いていた両生類だったころの名残だという説がある。人の血液の成分濃度は海水とほぼ同じだそうだ。偶然の一致にしては出来すぎている。出血多量で輸血が間に合わない時、緊急で生理食塩水を点滴することがある。この生理食塩水の浸透圧が海水に近いのである。これは、人が大昔、海の中にいた生き物であることの証拠となる。
遠い、遠いご先祖様が海から陸に上がった時、多くの外敵に苦しめられた。陸上は海の中と違って、紫外線や気温差、天敵など生存を脅かすモノに満ち溢れていた。海へ戻りたいという愛着を抱きつつも、海を離れて新天地を目指したご先祖様はさぞ大変だったであろう。ゆえに、何億年も経た今でも、人は辛いことがあると海に戻りたいという郷愁を覚えるという。事の真偽のほどは不確かだが、刑事ドラマで、追い詰められた犯人が、最後に海辺にたどりつく理由がこれでようやく分かった。


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