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作品名:続・不可思議情報の私的考察 作者:ツジセイゴウ

第19回   国民をバカにしておく教育
いつも不思議に思うことがある。義務教育や高校教育では、どうして政治・経済・法律のことをほとんど教えないのであろうか。わずかに週3時間ほどある「公民」という科目の中で、これらの内容は駆け足で済まされてしまう。大学受験で公民を選択しない人は、ほとんど勉強すらしない。
その反面、日本史、世界史、地理には莫大な時間が注がれ、どうでもいいような年号や人名・事件名を丸暗記させられる。歴史や地理を勉強することが無駄だとは言わないが、それだけの時間を費やすほどのことか疑問に感じる。
教育とは、立派な社会人を育てるためのものではないのか。社会に出て生きていくために必須の知識である政治・経済・法律をきちんと教えずに社会に送り出してしまうため、二院制も知らずして選挙権を得る人もいれば、公定歩合も知らずして銀行に預金を預けたり、民法も知らずして契約を結んだりと、若い人は危なっかしいことのやりたい放題である。そんなことは、社会に出てから実地訓練で覚えればよい、あるいは弁護士とか評論家とか専門家に任せておけばよいとでも思っているのであろうか。
国民をバカにしておけば政治がやりやすくなるのは事実である。選挙制度について詳しく教えなければ、選挙は人気投票で済ませられるし、署名集めをして住民投票に訴えられる心配もない。経済について詳しく教えなければ、賃金が安くてフリーター生活を強いられても、消費税が上がっても、何も思わなくなってしまう。法律について詳しく教えなければ、訴訟を起こされる心配もないし、契約書はいくらでもめくら判で作成できてしまう。
別に大学の政治学部や法学部、経済学部で教えるような高度な専門知識までは不要である。ほんの基礎の基礎でもいいから、社会に出る前に教えてもらっていれば、もう少し違った人生を歩んでいたのではないかとも思いたくなる。
池上彰さんのテレビ番組がたいそうの人気である。国民はやはりこうした知識に飢えているのである。


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